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CBR1000RR-Rの馬力は国内仕様も最強!218PSの実測データと加速性能を徹底検証

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イメージ:motofrontier

こんにちは。「motofrontier」の「マコト」です。

ホンダが誇るフラッグシップ、CBR1000RR-R Fireblade SP。購入を検討している方や興味がある方にとって、やはり一番気になるのは「218馬力」という強烈なパワーワードではないでしょうか。

かつての国内仕様にあった厳しい馬力規制のイメージから、「日本仕様はパワーダウンしているのでは?」「リミッターですぐ頭打ちになるのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。

また、その圧倒的な加速性能や最高速といった実測値、そして何より「そんなパワーを公道で扱えるのか」という点は、ライダーとして非常に気になるところですよね。私自身もSC82型に初めて乗ったとき、そのあまりのパワーにヘルメットの中で叫んでしまった経験があります。

あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?

  • ✅ 国内仕様のCBR1000RR-Rは、海外仕様に比べて馬力が低いのではないかと疑っている
  • ✅ 218馬力という数値が実際どれくらいの加速や最高速を生み出すのか、実測データを知りたい
  • ✅ リミッターカットをした際のポテンシャルや、ライバル車との性能差が気になる
  • ✅ 2024年モデルで改良された「扱いやすさ」や、実燃費などの維持面も確認しておきたい

もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。

CBR1000RR-Rの馬力は国内仕様も最強

CBR1000RR-R HONDA公式サイト画像
出典:HONDA公式サイト

かつてのホンダ車を知るライダーほど、「国内仕様=パワーダウン」というイメージが強いかもしれません。特にSC57型やSC59型の時代は、フルパワーの逆輸入車に対して国内仕様は100馬力以下に抑えられており、その差に涙したオーナーも多かったはずです。

しかし、SC82型CBR1000RR-Rに関しては、その「常識」はもはや通用しません。ここでは、なぜこのマシンが「最強」と呼ばれるのか、その馬力に隠された真実と歴史的背景について、エンジニアリングの視点も交えながら解説します。

SC82型が解き放つフルパワーの真実

CBR1000RR-R エンジン画像
出典:本田技研工業株式会社 CBR1000RR-R 製品技術解説より

結論から言うと、現行のCBR1000RR-R Fireblade SP(SC82)は、国内仕様であっても正真正銘の218PS(160kW)を発揮します。

なぜ昔のようにパワーダウンしていないのでしょうか? その理由は、日本の法規制の変化とホンダの開発戦略の転換にあります。

かつて日本独自の騒音規制や排ガス規制が存在した時代、メーカーは日本仕様専用のマフラーやECUを用意して、あえて性能を落とさざるを得ませんでした。

しかし、国際基準調和の流れにより、日本も欧州の規制(EURO規制)とほぼ同等の基準を採用するようになりました。これにより、メーカーは「グローバルモデル」として世界統一の仕様で作ることが可能になったのです。

かつての「国内仕様=デチューン」の歴史や、ホンダ車全体の馬力変遷については、CBR600RRの馬力を年式別に比較したこちらの記事で、600ccクラスを例により詳しく解説しています。

SC82型CBR1000RR-Rは、開発当初から「サーキット最速」を目標に掲げ、MotoGPマシン「RC213V」の技術を惜しみなく投入しています。カタログスペックを見比べても、欧州仕様と日本仕様で最高出力の数値に一切の違いはありません。

ここがポイント

「国内仕様だから遅い」「カムシャフトを交換しないとフルパワーにならない」というのは、一昔前の話です。SC82は、ディーラーで購入してナンバープレートを付けたその状態で、世界最強クラスの218馬力を手に入れています。

つまり、私たちが手にするのは、単なる「市販車」ではなく、保安部品がついたレーシングマシンそのものと言っても過言ではありません。218馬力という数値は、1000ccの自然吸気(NA)直列4気筒エンジンとしては、物理的な限界に近い領域です。これを公道走行可能な市販車としてパッケージングしたホンダの技術力には、ただただ脱帽するしかありません。

その「エンジニアリング」を自分の手で再現する

218馬力を叩き出すエンジンの内部構造、気になりませんか?
タミヤの「1/12 CBR1000RR-R 30th Anniversary」なら、実車同様にエンジンを組み上げ、フレームに搭載する工程を追体験できます。

歴代モデルにおける馬力の推移

CBR1000RRシリーズがどのように進化してきたか、歴代モデルの馬力を比較してみると、SC82の異常なまでの進化幅が見えてきます。「Total Control(操る楽しみ)」をコンセプトに掲げてきたFirebladeが、いかにして「絶対的な速さ」へと舵を切ったのか、数字の変化から読み解いてみましょう。

モデルイヤー型式最高出力 (PS)最大トルク (Nm)特徴と進化のポイント
2017-2019SC77192 PS114 Nm徹底した軽量化とマスの集中化を追求。公道での扱いやすさを重視した「Total Control」の最終形とも言えるモデル。
2020-2021SC82 (前期)218 PS113 Nm一気に約26PSアップ! エンジンをショートストローク化し、高回転型へ劇的変貌。サーキットでの勝利を最優先した設計へシフト。
2024-2025SC82 (後期)218 PS113 Nmピークパワー発生回転数を500rpm下げつつ、同出力を維持。中低速トルクを強化し、実戦的な速さを追求。(出典:Honda 2024年モデル ニュースリリース

なぜ一気に26馬力も上がったのか?

2020年のモデルチェンジでの「プラス26馬力」というのは、通常のモデルチェンジでは考えられない数値です。これはエンジンの基本設計を根本から変えたことを意味します。

SC82型のエンジンは、MotoGPマシン「RC213V」と全く同じボア81.0mm × ストローク48.5mmというボア・ストローク比を採用しました。これはクラス最大級のビッグボア(大径ピストン)であり、ショートストローク(ピストンの移動距離が短い)エンジンです。

ショートストローク化することで、ピストンスピードを抑えながら超高回転まで回すことが可能になります。馬力とは「トルク × 回転数」ですから、より高回転まで回せるエンジンほど、理論上の最高出力は高くなるのです。

2020〜2023年モデルのSC82型は14,500rpmという、市販車としては常軌を逸した回転数で218PSを叩き出していました。最新の2024年モデルでは、同じ218PSをより低い14,000rpmで発生するよう熟成されており、「回してナンボ」のエンジンでありながら、実用域での力強さも増しています。

ラムエアシステムによる出力向上

ラムエアシステムによる出力向上
イメージ:motofrontier

カタログに記載されている「218PS」という数値は、あくまでシャシダイナモなどの計測機上で、停止状態で計測された数値(静的出力)に過ぎません。

実は、CBR1000RR-Rには走行風を利用してさらにパワーを上げる「ラムエアシステム」が搭載されており、実走行ではこれ以上のパワーが出ている可能性が高いのです。

時速200km/h以上の世界で起きること

CBR1000RR-Rのフロントカウル先端、ヘッドライトの間に大きな穴が開いているのをご存知でしょうか? これがラムエアダクトです。このダクトは、ヘッドパイプ(ハンドルの軸部分)を貫通し、最短距離でエンジン上部のエアクリーナーボックスへと繋がっています。

バイクが高速で走行すると、前方からの猛烈な走行風がこのダクトに飛び込みます。すると、エアボックス内の気圧が大気圧以上に高まります。これは擬似的な「スーパーチャージャー(過給機)」と同じ原理です。

この加圧効果は、速度が上がれば上がるほど指数関数的に高まります。特に時速200kmから300kmの領域では、このラムエア効果によって実質的な出力はカタログ値を数%上回ると推測されます。

ライバル車のKawasaki ZX-10Rなどは「ラムエア加圧時:213PS」のようにカタログに併記していますが、ホンダは伝統的に静的出力のみを公表しています。しかし、構造的には同等かそれ以上の効果が得られているはずで、実走行での伸び感はカタログスペック以上のものを感じさせてくれるでしょう。

数値の裏にある実測データと性能

「218馬力と言われても、実際に路面に伝わるパワーはどうなの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。カタログスペックはあくまでエンジンの出力(クランク出力)であり、タイヤが路面を蹴る力(後輪出力)とは異なります。ここでは、ダイナモでの実測値や加速タイムなど、よりリアルな数字に迫ります。

ダイナモ計測による後輪出力の実測値

出典:YouTubeチャンネル「NAO BASE project」より

エンジンのクランク軸で発生したパワーが、タイヤに伝わるまでには、トランスミッション、チェーン、スプロケット、そしてタイヤ自体の変形による摩擦で「駆動ロス」が発生します。一般的に、チェーンドライブのバイクでは10〜15%程度パワーダウンすると言われています。

では、CBR1000RR-Rの実力はどうなのでしょうか? 複数の海外有力メディアや国内のチューニングショップが公開している検証動画やデータなどを総合すると、CBR1000RR-R(ノーマル状態・日本/欧州仕様)の後輪出力実測値は、おおよそ以下の範囲に収まることが多いようです。

  • 実測値(後輪出力): 約190PS 〜 200PS前後
  • フルパワー化後(マフラー交換+ECU書き換え): 210PS 〜 220PSオーバー

後輪で200馬力の衝撃

「えっ、218馬力じゃないの?」とガッカリしないでください。後輪で200PS近く出ていること自体が、実はとんでもないことなのです。

比較対象として、一昔前のリッタースーパースポーツ(例えば2010年代前半のモデル)であれば、カタログ値が180PS程度で、後輪出力実測値は150〜160PS程度でした。

それに対し、CBR1000RR-Rは後輪で実測200PSに迫る数値を叩き出しています。これは、エンジン出力そのものが向上しているだけでなく、フリクションロス(摩擦抵抗)を極限まで減らす設計がなされている証拠でもあります。

さらに、純正マフラーの触媒(キャタライザー)による排気抵抗や、燃調のセッティングを見直す(ECU書き換え)だけで、後輪出力で215PS、条件が良ければ220PSを超える数値を記録するケースも報告されています。これは、エンジンの素性が極めて高く、環境規制によって「抑え込まれている」部分がいかに大きいかを示しています。

0-100km/h加速のタイムと限界

0-100km/h加速のタイムと限界
イメージ:motofrontier

218馬力の加速力は、もはや人間の反射神経や動体視力の限界に挑戦するレベルです。ローンチコントロール機能を使い、プロライダーが理想的な条件でスタートを切った場合のデータ(海外メディア等のテスト値)を参照すると、以下のようになります。

  • 0-100km/h: 3.0秒以下(条件次第で2秒台後半)
  • 0-200km/h: 約7.1秒前後
  • 0-400m(ゼロヨン): 10秒前半

物理法則との戦い

停止状態からたった3秒弱で時速100kmに到達します。これは自由落下する物体とほぼ同じか、それ以上の加速Gを全身に浴びることを意味します。もはや「速い」という感覚を超えて、視界が狭まり、意識が後方に置いていかれるような「ワープ」する体験です。

この加速を実現するためには、単にエンジンパワーがあるだけでは足りません。強烈なパワーを路面に伝えるための「トラクションコントロール」や、フロントタイヤが浮き上がるのを防ぐ「ウィリーコントロール」が不可欠です。

特に2024年モデルでは、MotoGP直系のウイングレットの形状変更でダウンフォースが効き、加速時のフロントリフトが抑えられているため、電子制御の介入を最小限にしつつ、このパワーをより無駄なく推進力に変えられるようになっています。

【必須】218馬力の加速Gに耐えるために

「加速が凄すぎて、体が後ろに置いていかれる」
218PSのCBRでは、ジーンズとタンクの摩擦力だけでは体を支えきれません。ハンドルにしがみついて腕がパンパンになる前に、この「ストンプグリップ」を貼ってください。

マン島TTレーサーも愛用する強力なグリップ力で、下半身だけで体を固定できるようになります。CBRに乗るならマフラー交換より先にやるべき「初手のカスタム」です。

リミッターカットと最高速の可能性

サーキット走行を楽しむ方、あるいは「自分のバイクの本当の限界」を知っておきたい方にとって気になるのが、スピードリミッターの存在です。日本仕様を含む多くの公道向けCBR1000RR-Rには、メーカーの自主規制により、メーター読みで299km/h(実測ではもう少し低い場合も)で作動するスピードリミッターが設定されています。

このリミッターが作動すると、燃料噴射がカットされ、まるで壁に当たったかのように加速が止まります。しかし、サーキット走行専用の「HRCキット」を組み込んだり、専門ショップでのECU書き換えによってこのリミッターを解除(リミッターカット)すると、その真の姿が現れます。

300km/hの壁を超えて

空力特性の良さ(CD値の低さ)も相まって、リミッターを解除したCBR1000RR-Rは、計算上は310km/h前後に達するポテンシャルを秘めています。実際に海外のアウトバーンやサーキットでのテスト動画では、GPS計測で305km/h、条件が良ければ310km/hを超える速度を記録する様子が確認されています。

注意

リミッターカットはサーキット走行(クローズドコース)を前提とした行為です。公道での暴走行為は法律で厳しく罰せられますし、重大な事故に直結します。また、ECUの改造はメーカー保証の対象外となるリスクが高いため、実施する際はそのリスクを十分に理解した上で行ってください。

高出力エンジンの実燃費と航続距離

パワーがあればあるほど、燃料を大量に消費するのは物理の法則です。ガソリンと空気を混ぜて爆発させることでパワーを得ている以上、218馬力を出すためにはそれ相応のガソリンが必要です。「cbr1000rrr 燃費」と検索して維持費を心配する方も多いですが、オーナーの実情はどうなのでしょうか。

走行シーン燃費目安航続距離(タンク16L計算)
カタログ燃費(WMTC)15.4 km/L約246 km
高速道路ツーリング15 〜 17 km/L約240 〜 270 km
街乗り・渋滞路10 〜 13 km/L約160 〜 200 km
サーキット全開走行5 〜 7 km/L約80 〜 110 km

給油計画はシビアに

ツーリング利用での実燃費は、おとなしく走ればリッター15km前後伸びることもありますが、少し回して楽しむとリッター12〜13km程度に落ち着くことが多いです。タンク容量は16Lと、ツアラーモデルに比べると少なめです。

燃料計の警告灯は、残り3〜4L程度で点灯することが多いので、計算上は約180km〜200km走行するごとに給油が必要になります。高速道路のSA/PAの間隔が開いている区間や、山深いワインディングに入る前には、必ず給油しておく必要があります。「まだ行けるかな?」という油断が命取りになる、それがスーパースポーツの宿命でもあります。

2024年新型に見る扱いやすさの進化

ここまで「速さ」にフォーカスしてきましたが、実は最新の2024年モデルで最も注目すべきは「馬力の質」が変わったことです。スペック上の218馬力という数値は変わりませんが、その中身は別物と言えるほど進化しています。

2024年モデルの主な変更点

2024年のマイナーチェンジは、カウルの形状変更といった見た目の変化以上に、内部機関に徹底的に手が入っています。初期型(2020年モデル)は「ピークパワー至上主義」で、サーキットでのタイムを削ることには長けていましたが、公道では低速トルクが薄く、発進や低速コーナーで神経を使う場面もありました。

それに対し、2024年モデルは「そのパワーをいかに使いこなすか」に重点が置かれました。具体的には以下のような改良が施されています。

  • 圧縮比の向上: 13.4から13.6へ引き上げ。全域でのトルクアップに貢献。
  • バルブタイミングの変更: 吸気・排気バルブの開閉タイミングを見直し、中速域の充填効率を向上。
  • クランクシャフトの軽量化: 回転マスの低減により、アクセルレスポンスが鋭くなった。
  • バルブスプリングの変更: 3段不等ピッチスプリングを採用し、高回転での追従性を確保しつつフリクションを低減。

これらの変更はすべて、中速域のトルクを太くし、スロットルを開けた瞬間の「ツキ」を良くするためのものです。ピークパワーを維持したままこれを実現するのは、相反する要素を両立させる非常に高度なチューニング技術が必要です。

2モーターTBWが変える操作感

HONDA公式サイト スロットルバイワイヤシステム画像
出典:本田技研工業株式会社 CBR1000RR-R 製品技術解説より

今回の改良の目玉とも言える技術が、Honda二輪車として初採用となる「2モーター・スロットル・バイ・ワイヤ(TBW)」です。

従来のスロットル・バイ・ワイヤは、右手のアクセル操作に合わせて、1つのモーターが4気筒すべてのスロットルバルブを一斉に開閉していました。しかし、新型では2つのモーターを使い、「1番・2番気筒」と「3番・4番気筒」を独立して制御できるようになりました。

マコト
マコト
これの何が凄いかと言うと、例えばアクセルを少ししか開けていない低負荷時には、2気筒分のスロットルバルブだけを開けて、残りの2気筒は閉じ気味にする、といった芸当ができるんです。

街乗りでのギクシャク感が消えた?

この制御により、低回転域での流速をコントロールしやすくなり、燃焼が安定します。

結果として、初期型で感じられた低速でのドンつきやギクシャク感が消え、驚くほどスムーズに走れるようになります。また、エンジンブレーキの効き具合もコントロールできるため、コーナー進入時のリアタイヤの挙動も安定します。

218馬力の猛獣が、街乗りやコーナーの立ち上がりでは従順なペットのように振る舞ってくれる。しかし、ひとたびアクセルをワイドオープンにすれば、4気筒すべてが咆哮を上げ、猛獣の本性を剥き出しにする。この「二面性」こそが、最新の電子制御技術がもたらした最大の恩恵です。

中速トルク改善とギア比の最適化

初期型のオーナーからよく聞かれた不満点の一つに、「ギアがロングすぎて(ハイギアードすぎて)、日本の峠道やサーキットのコーナーでパワーバンドに入らない」という悩みがありました。1速で180km/h近くまで出てしまう設定だったため、低速コーナーでは回転が落ちすぎてしまい、立ち上がりでモタつくことがあったのです。

2024年モデルでは、これを解消するためにプライマリードライブ(一次減速比)および全段のギアレシオをショート化(加速重視)しています。

【ギア比変更のメリット】

  • 同じ速度でも、より高いエンジン回転数(パワーが出る領域)をキープできる。
  • コーナーの立ち上がりで、駆動力がより強くかかり、「ドン!」と前に出る加速感が得られる。
  • 街乗りでの発進が楽になり、エンストのリスクも減る。

試乗レビューなどで「従来型と同じ218馬力なのに、体感では20馬力くらいアップしたように感じる」と評される理由は、このトルク特性の改善とギア比の最適化が絶妙にマッチしているからです。数値には表れない「実戦的な速さ」が磨き上げられたと言えるでしょう。

ライバル車とのスペック比較

ライバル車とのスペック比較
イメージ:motofrontier

最後に、現在のリッタースーパースポーツ市場におけるライバルたちと、改めてスペックを比較してみましょう。各メーカーがどのような哲学でマシンを作っているのか、その違いが浮き彫りになります。

モデル排気量最高出力車両重量キャラクターと特徴
Honda CBR1000RR-R1000cc218 PS201kg高回転・高出力のレーシング直4。 純粋なレースレギュレーション遵守のパッケージで、究極のハンドリングとトップエンドの伸びを追求。
Ducati Panigale V4 S1103cc216 PS約187kg排気量マジックによるトルクの塊。 レース規定を超える1103ccエンジンで、低回転から強烈なトルクを発揮。V4特有のパルス感と情熱的な走りが魅力。
BMW S1000RR999cc210 PS197kg可変バルブの優等生。 「ShiftCam」機構により、低速トルクと高回転パワーを両立。全域で扱いやすく、ライダーを助ける電子制御も秀逸。
Yamaha YZF-R1998cc200 PS203kgトラクションの鬼。 クロスプレーンクランクによる独特の点火間隔で、タイヤが路面を掴む感覚が分かりやすい。数値以上の「前に進む力」を持つ。

ホンダの意地とプライド

ライバルたちが排気量を1100ccに拡大したり(Ducati)、可変バルブ機構という複雑なギミック(BMW)を使って性能を上げている中、ホンダはあくまで「1000ccの自然吸気直列4気筒」という、レースレギュレーションど真ん中のパッケージにこだわっています。

余計なギミックを使わずに、エンジンの燃焼効率とフリクション低減、そして空力性能だけでトップクラスの218PSを叩き出している点に、ホンダのエンジニアたちの凄まじい「意地」と「プライド」を感じずにはいられません。CBR1000RR-Rを選ぶということは、その純粋なレーシングスピリットに共感するということでもあるのです。

WSBKでの苦戦の背景や、2024年モデルが「最強」の定義をどう変えたのかといったレース面の話は、CBR1000RR-Rは本当に勝てないのか?WSBK苦戦の真相と2024年モデルの分析記事で、より踏み込んで解説しています。

CBR1000RR-Rの馬力に関するよくある質問(Q&A)

最後に、CBR1000RR-Rの購入を検討している方からよく寄せられる質問と、それに対する私の回答をまとめました。スペック表には載っていない「リアルな実情」として参考にしてください。

Q. 218馬力なんて公道で扱いきれますか?怖くないですか?

A. 「扱いきる」のは不可能ですが、「乗る」ことは怖くありません。

正直に言えば、公道で218馬力を全開にする(扱いきる)場所は日本には存在しません。しかし、最新の6軸IMU(慣性計測装置)と、HSTC(トラクションコントロール)やウィリーコントロール、パワーモード切り替えなどの電子制御が非常に優秀なので、普通に走る分には驚くほど安定しています。

特に2024年モデルは低速トルクが増してスムーズになったので、以前のような「いつ吹っ飛ぶかわからない恐怖」はかなり薄れました。「RAINモード」などの出力抑制モードを使えば、体感としては400ccスポーツ並みの穏やかさで走ることも可能です。

Q. エンジンの熱はやっぱり凄いですか?

A. はい、覚悟してください。「走るストーブ」です。

218馬力を発生させる熱量は凄まじく、特に夏場の渋滞や信号待ちはかなり過酷です。フレームやタンク周辺が高温になり、ニーグリップしている内太ももが低温火傷しそうに感じるレベルだと話すオーナーも多いです。

ラジエーターファンが回り始めると熱風がライダーを直撃します。こればかりは高出力エンジンの宿命なので、革パンを履く・インナープロテクターを使うなど、ライディングギアでの対策を前提に考えておいた方がいいです。

Q. リミッターカットはディーラーでやってくれますか?

A. 基本的にディーラー(ホンダドリーム等)では対応してくれません。

スピードリミッターの解除やECU書き換えは、メーカー保証の対象外になる可能性が高く、公道走行においても推奨されないため、正規ディーラーでは原則として断られます。

リミッターカットを行いたい場合は、サーキット走行を前提にしたレース用車両として、レース活動を行っている専門ショップや、ECUチューニングを扱うショップに依頼する必要があります。もちろん、公道での使用はNGです。

Q. 維持費(タイヤ代やガソリン代)はどれくらいかかりますか?

A. 覚悟が必要です。特にお金がかかるのは「タイヤ」です。

218馬力のパワーを受け止めるため、純正タイヤ(PIRELLI DIABLO SUPERCORSA SPなど)のようなハイグリップラジアルが前提になります。これらは非常に高価で、前後セットでだいたい6〜8万円前後になるケースが多く、しかも寿命が短いのがネックです。

乗り方にもよりますが、スポーツ走行を交えると3,000〜5,000km程度でスリップサインが出ることも珍しくありません。「タイヤは消しゴム」と思えるくらいの経済的余裕がないと、フルに性能を楽しみながら維持するのは少し大変かもしれません。

高価なタイヤを「変形」から守る投資

CBR1000RR-Rの純正タイヤは非常に柔らかいため、サイドスタンドだけで長期間放置すると接地面が変形(フラットスポット化)してしまいます。
8万円のタイヤを無駄にしないために、乗らない時は「J-TRIPのメンテナンススタンド」でリアを浮かせておくのが鉄則です。
センタースタンドが無いこのバイクでは、チェーン清掃や給油などのDIYメンテでも元が取れる、絶対損しないアイテムです。

CBR1000RR-Rの馬力を所有するロマン

ここまで、CBR1000RR-Rの馬力について、技術的な側面や実測データ、そしてライバル比較まで詳細に解説してきました。最後に、私なりの結論をお伝えします。

  • SC82型は国内仕様でも「世界最強クラス」の218PSをフルに発揮する、ホンダの本気が詰まったマシンである。
  • その加速性能は公道の枠を遥かに超えているが、2024年モデルの進化により、ライダーがコントロールできる領域が広がった。
  • ダイナモ実測値でも後輪200PSに迫る性能は、かつてのレーサーレプリカとは次元が違う。
  • 「公道でそんな馬力はいらない」という意見もあるが、このマシンに乗る価値は「必要か不要か」ではなく、そこにある「技術」と「可能性」を感じることにある。
  • MotoGPマシン「RC213V」のDNAを色濃く受け継いだエンジンを、自分の手で操る喜びは何物にも代えがたい。

正直なところ、日本の公道で218馬力をフルに使い切る場所はありません。サーキットに行かなければ、その真価の半分も体験できないかもしれません。

しかし、アクセルをほんの少しひねれば、いつでも非日常の速度域へワープできるという圧倒的な「余裕」。そして、世界最高峰の技術の結晶に跨っているという「高揚感」。

それこそが、CBR1000RR-R Fireblade SPというバイクを所有する最大のロマンではないでしょうか。もしあなたがこのマシンの購入を迷っているなら、ぜひその背中を押させてください。218馬力の向こう側に見える景色は、このキーを手にしたオーナーにしか見えませんから。

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