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CBR600RR逆車と国内仕様の見分け方を徹底解説|公道での現実と車検リスク

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こんにちは。「motofrontier」のマコトです。

CBR600RRの「逆車」って、なんだか特別な響きがありますよね。中古車を探していると必ず目にする言葉ですが、国内仕様と比べてどれくらいの馬力差があるのか、PC37やPC40といった型式で違いはあるのか、気になっている人も多いかなと思います。

「フルパワー化」という言葉も魅力的ですが、そもそも逆車と国内仕様の確実な見分け方って何でしょう?それに、US仕様なんてものもあって、車検の時に問題にならないか不安ですよね。

この記事では、CBR600RRの逆車に関するそうした疑問を一つずつ解消していきます。あなたのバイク選びの参考になれば嬉しいです。

あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?

  • CBR600RRの逆車と国内仕様の馬力の差が知りたい
  • 中古車を買うとき、逆車を確実に見分ける方法がわからない
  • 逆車を買った後の車検や維持費が心配
  • 自分にフルパワーの逆車は本当に必要なのか迷っている

もし一つでも当てまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。

CBR600RR 逆 車の魅力と公道での現実

CBR600RR ホンダ公式サイト画像
出典:HONDA公式サイト

まず、「CBR600RRの逆車」とは具体的に何を指すのか、その圧倒的な魅力と、逆に公道で乗る場合の現実的なデメリットについて整理していきます。特に馬力差は、このバイクのキャラクターを決定づける重要なポイントですね。

逆車とは?100馬力超のフルパワー

CBR600RRの「逆車(ぎゃくしゃ)」とは、「逆輸入車」の略称です。これは、ホンダのような日本のメーカーが、最初からヨーロッパ(EU仕様)や北米(US仕様)といった海外市場向けに製造・輸出した車両が、日本国内に再び輸入されたものを指します。

なぜこの「逆車」というカテゴリーが、特に600ccスーパースポーツクラスで重要視されるのでしょうか。それは、当時の日本国内市場には特有の事情があったからです。

1000ccクラス(例えばCBR1000RR)は、長い間、国内仕様が存在せず「逆車」として購入するのが一般的でした。そのため、比較対象となる「性能を抑えられた国内仕様」がそもそも無かったんですね。

しかし、CBR600RRのような600ccクラスは、日本国内でも正規販売(国内仕様)が行われていました。ただしそれは、日本の厳しい騒音規制や排出ガス規制、かつての馬力自主規制などに合わせて、大幅に性能が抑制(デチューン)されたモデルでした。

結果として、600ccクラスでは、「国内で正規に買えるが性能が抑えられたモデル」と「輸入手続きが必要だがメーカー本来設計のフルパワーを持つモデル」という、明確な二者択一が生まれたんです。

CBR600RRで言えば、国内仕様が規制でパワーを抑えられていたのに対し、逆車は約120馬力という本来の性能を持っている。これが最大の魅力であり、多くのライダーが逆車に憧れる理由ですね。

国内仕様との圧倒的な馬力の違い

国内仕様との圧倒的な馬力の違い
イメージ:motofrontier

「フルパワー」と言われてもピンと来ないかもしれませんが、その馬力差は本当に圧倒的です。国内仕様が日本の規制に合わせて、意図的に性能を抑え(デチューン)られていたからです。

具体的な数値で見ると、その差は歴然です。

世代 (型式)国内仕様 (参考値)逆車 (欧州仕様・参考値)馬力差 (参考値)
PC37 (2003-2006)約 69 PS約 117 PS約 48 PS
PC40 (2007-2016)約 78 PS約 120 PS約 42 PS

見ての通り、40馬力以上も差があるんです。PC40世代では国内仕様も78馬力まで上がりましたが、それでも逆車との差は決定的でした。軽自動車のターボモデル(約64馬力)よりも、国内仕様のCBR600RR(約78馬力)のほうが少しパワフルな程度、と考えると、逆車の120馬力がいかに別次元かが分かるかなと思います。

この差は、単なるECUのマップ書き換え(リマップ)だけで生まれたものではありません。国内仕様は、物理的なハードウェアレベルで体系的に制限がかけられているんです。

国内仕様の主な制限(デチューン)内容

  • ECU (エンジンコントロールユニット) 燃料噴射量や点火時期を制御する「マップ」が全く異なります。高回転域での燃料を絞り、点火時期を最適値からずらすことで、意図的に出力を抑制しています。
  • スロットルボディ PC40などのモデルでは、国内仕様は逆車(欧州仕様)に比べてスロットルボディの口径(ボア径)が物理的に小さくされています。これにより、エンジンが吸い込める空気の最大量そのものが制限されます。
  • インテークファンネル 吸気効率を左右するインテークファンネルの形状も異なります。高回転域でのラムエア効果(走行風による過給)を意図的に弱めるような形状・長さに設定されていることが多いです。
  • エキゾーストシステム (マフラー) 日本の厳しい騒音規制(加速騒音・近接排気騒音)をクリアするため、国内仕様のマフラーは極めて制限的な内部構造(バッフル、触媒)を持っています。これにより排気効率が大幅に低下し、高回転パワーダウンの大きな要因となっています。

高回転域の「伸び」が全く違う

こうした複合的な制限の結果、重要なのはピークの数値だけじゃありません。国内仕様は、スーパースポーツが一番得意とする10,000回転を超えるような高回転域でのパワーの「伸び」が意図的にカットされています。一方、逆車はそこからが本領発揮で、高回転まで鋭く吹け上がり、サーキットで求められる「もうひと伸び」を発揮してくれるんです。

公道メインならパワーは不要?

約120馬力というパワーは魅力的ですが、ここで冷静に考えてみたいのが、「そのパワー、公道で本当に使いますか?」という点です。

日本の公道は、ご存知の通り法定速度があり、一般道なら60km/h、高速道路でも(一部区間を除き)100km/h~120km/hです。CBR600RRのようなバイクなら、1速で法定速度に達してしまうほどのポテンシャルを持っています。

そんな環境で、120馬力を解放できるシチュエーションは、はっきり言ってほとんどありません。持て余してしまう可能性が非常に高いんですね。常にパワーを抑えつけて走ることに、かえってストレスを感じるライダーもいるかもしれません。

むしろ、パワーが抑えられている国内仕様(約78馬力)の方が、低中速域でのスロットルレスポンスがマイルドに調整されており、日本の公道で多用する速度域(発進・停止、街中のノロノロ運転、ワインディングのタイトコーナー)では扱いやすい、という側面もあります。

フルパワーはロマンですが、公道メインで走り、たまにツーリングを楽しむといったスタイルのライダーにとっては、国内仕様の「扱いやすさ」も大きなメリットになるかなと思います。

デメリットは中古価格の高さ

逆車を選ぶ際の、もう一つの現実的な問題が「中古車価格」です。

「フルパワー」という明確な付加価値があるため、中古車市場では、逆車の人気は非常に高いです。特にCBR600RRのようなモデルは、サーキット走行を楽しむ層からの需要が根強くあります。

その結果、同じ年式、同じ走行距離、同じコンディションの車両で比較した場合、国内仕様よりも逆車の方が数十万円単位で高く取引されるのが一般的です。

購入時の初期コストが高くなることは、逆車を選ぶ上で覚悟しておくべきデメリットと言えますね。

もちろん、これは裏を返せば、売るときの「リセールバリュー(再販価値)」も高いというメリットにはなります。購入時に高くても、売却時に高く売れる可能性があるので、トータルでの所有コストは国内仕様と大きく変わらない、という考え方もできるかもしれません。

逆車と国内仕様の決定的な見分け方

CBR600RRの逆車が欲しいと思っても、中古車市場には「フルパワー化済み」や「逆車仕様」といった紛らわしい車両も多いです。ここでは、購入で失敗しないための「確実な見分け方」を、信頼度の高い順に紹介します。後悔しないバイク選びのために、ここはしっかり押さえておきたいですね。

確実な見分け方は車検証の型式

確実な見分け方は車検証の型式
イメージ:motofrontier

中古車選びで最も重要かつ確実な見分け方は、車検証(自動車検査証)の「型式」欄を確認することです。これだけは嘘がつけません。

なぜなら、メーターやマフラーといった物理的なパーツは後から簡単に交換できますが、国に登録された法的な情報は変更できないからです。

車検証の「型式」欄をチェック!

  • 国内仕様の場合: 「BC-PC37」「BC-PC40」「EBL-PC40」のように、必ず排出ガス規制コード(BC-やEBL-)のプレフィックス(接頭辞)が付いています。これが「国内で正規に販売された」という法的な証拠です。
  • 逆車(逆輸入車)の場合: 「-」(ハイフン)、「不明」、または「PC37」「PC40」(プレフィックス無し)と記載されています。これは、国内の型式指定を受けていない車両として登録されたことを意味します。

さらに確実な方法として、フレームのネック部分(ハンドルの付け根あたり)に打刻されている「車台番号」を確認する方法もあります。

  • 国内仕様: 「PC40-100…」のように、型式(PC40)とそれに続く番号体系になっています。
  • 逆車: 「JH2PC40…」のように、「JH2」(ホンダの二輪車を示す世界共通コード)で始まる17桁のシリアル番号(VINコード)になっています。

中古車をチェックする際は、まず車検証の「型式」を確認する。これが、フルパワーの逆車を探す上で、最も信頼できる鉄則ですね。

メーターやラベルでも判別可能か

メーターやラベルでも判別可能か
イメージ:motofrontier

車検証が手元にない場合(例えばネットオークションの写真だけなど)や、補助的な確認として、いくつかの物理的な特徴で判別することも可能です。ただし、これらは交換されている可能性があるため、「参考程度」と考えるのが無難です。

スピードメーターの表示

最も分かりやすい違いの一つがスピードメーターの最大表示スケールです。

  • 国内仕様: 当時の自主規制に基づき、最大スケールが180 km/h表示です。
  • 逆車 (欧州仕様): メインがkm/h表示で、最大スケールが280 km/h299 km/h表示になっています。
  • 逆車 (北米仕様): メインがmph(マイル)表示で、180 mphなどになっています。(小さくkm/hが併記されていることもあります)

メーター交換に注意!

スピードメーターの表示で見分ける方法は分かりやすいですが、この方法は信頼度が低いという点に注意が必要です。なぜなら、メーターASSY(ユニットごと)の交換は比較的簡単だからです。

車検証の型式は「BC-PC40」(国内仕様)なのに、メーターだけ299 km/h表示になっている車両も実際に存在します。これは「メーターを交換した国内仕様車」(いわゆる「なんちゃって逆車仕様」)である可能性が極めて高いので、騙されないように注意が必要です。

コーションラベル (警告ラベル)

より交換されにくいヒントとして、フレームやタンク、スイングアームなどに貼られている警告ラベル(タイヤの空気圧やチェーン調整に関する注意書き)も有効です。

  • 国内仕様: すべて日本語で記載されています。
  • 逆車: 英語やフランス語、ドイツ語など、輸出先の言語で記載されています。

その他の物理的特徴

モデルによっては、ヘッドライトのON/OFFスイッチ(常時ONが義務化される前の欧州仕様など)の有無や、パッシングスイッチの形状が国内仕様と異なる場合もあります。ただ、これらも年式や仕向地によって様々なので、決定的な証拠にはなりにくいですね。

PC40とPC37の逆車の特徴

PC40とPC37の逆車の特徴
イメージ:motofrontier

CBR600RRの逆車と国内仕様の歴史は、主にPC37とPC40の2つの世代に分けられます。それぞれの世代で、逆車と国内仕様の関係性が少しずつ異なっています。

PC37 世代 (2003-2006)

MotoGPマシンRC211Vの遺伝子を受け継ぐ初代モデルで、特徴的なセンターアップマフラーを採用して衝撃的なデビューを果たしました。この世代の馬力差は最も大きく、国内仕様69 PSに対し、逆車は約117 PS

その差は実に48馬力にも達し、この世代で「CBR600RRの国内仕様は(逆車に比べて)遅い」というイメージと、「逆車」への強い需要が確立されたと言えますね。

PC40 前期 (2007-2008)

エンジン、車体ともに全面的に刷新された第二世代 (PC40)。大幅な軽量化とマスの集中化を達成し、戦闘力を飛躍的に高めました。国内仕様は新たな排出ガス規制に対応しつつ、78 PSへとパワーアップしましたが、逆車も新設計エンジンにより約120 PSへと進化。馬力差は約42馬力と依然として決定的でした。

【重要】2009年~2012年式は逆車確定?

ここでCBR600RRの歴史において、中古車選びで非常に重要な時期が訪れます。2008年モデルの販売終了後、ホンダは日本国内でのCBR600RR(国内仕様)のラインナップを一時的に廃止したんです。

この背景には、リーマンショックによる世界的なスポーツバイク市場の冷え込みや、国内市場の縮小があったとされています。

つまり、中古車市場でこの「空白期間」に該当する年式(2009年、2010年、2011年、2012年式)のCBR600RRがあれば、それは「国内仕様が存在しなかった年式」=「ほぼ100%逆車である」と判断できる、強力な見分け方になります。

PC40 後期 (2013-2016)

デザインを一新し、フロントフェイスは「ラインビーム」と呼ばれる特徴的なヘッドライトに変更されました。このモデルから国内仕様(EBL-PC40)が78 PSのまま復活。逆車も約120 PSを維持したため、再び「逆車か、国内仕様か」が問われる時代に戻りました。

2020年以降 (2BL-PC40) – 「逆車」概念の終焉

※なお、2020年以降に電子制御スロットルやIMUを搭載して再登場した新型CBR600RR (2BL-PC40)は、話が別です。このモデルは、日本の最新の令和2年排出ガス規制に適合しつつ、国内仕様でありながら121 PSの最高出力を発揮します。

技術の進歩(特に電子制御)によって、かつての「国内仕様=デチューン」という図式は過去のものとなりました。したがって、この記事で扱う「逆車 vs 国内仕様」という性能差の議論は、主に2003年から2016年までのPC37および旧PC40世代に固有のテーマである、と理解しておくのが良いですね。

要注意!US仕様と欧州仕様の違い

要注意!US仕様と欧州仕様の違い
イメージ:motofrontier

「逆車」と一口に言っても、仕向地(輸出先)によって仕様が異なります。特に中古車で注意したいのが、「US仕様(北米仕様)」の存在です。

「欧州仕様(EU仕様)」も「US仕様」も、どちらもフルパワー(約120馬力)であることには変わりありません。しかし、決定的な違いが一つあり、これを知らないと購入後に莫大な追加費用が発生する可能性があります。

それは、ヘッドライトの光軸(ビームパターン)です。

US仕様はそのままでは車検に100%通らない!

北米は日本と逆の「右側通行」の国です。そのため、US仕様のヘッドライトは、対向車(左側)を眩惑させないよう、光軸が「左上がり」の配光になるよう設計されています。

一方、日本は「左側通行」の国であり、法律(保安基準)で、ヘッドライトは右側(対向車線)を照らさないよう、左側通行用の配光(右上がり、またはフラットカット)でなければならないと定められています。(参照:自動車技術総合機構『審査事務規程 第8章』

このため、US仕様のバイクをそのまま日本の車検に持ち込むと、光軸が「逆」であるため、100%不合格となってしまいます。これを是正するには、高価な日本国内仕様または欧州仕様のヘッドライトユニットASSYに交換する必要があり、部品代と工賃で10万円以上の追加コストが発生することも珍しくありません。

【解決策】車検対応の「ヘッドライトバルブ」は?

ヘッドライトユニット丸ごとの交換は、本当に最後の手段ですよね…。

もし光軸調整だけでどうにもならない場合、安価な解決策として、「日本仕様(左側通行用)」「車検対応」を謳った高効率なH7バルブ(LEDやHID)に交換してみる、という手もあります。

特に最近のLEDバルブは、対向車を眩惑させないよう「キレイなカットラインが出る」ことを売りにした製品も多いです。これで光軸がクリアできれば、一番安上がりな解決策になるかもしれませんね。(※最終的には車検場のテスター次第な部分もありますが、試す価値はアリです)

▼CBR600RR (H7バルブ) 車検対応ヘッドライト

中古で逆車を買う際は、それが「欧州仕様」なのか、もし「US仕様」ならヘッドライトが日本仕様に交換済みか(あるいは車検対応の対策がなされているか)を、販売店に厳しくチェックする必要がありますね。個人売買などでは特に注意が必要なポイントです。

用途別:最適なCBR600RRの選び方

ここまで逆車の魅力と見分け方、そしてリスクについて詳しく解説してきました。これらを踏まえて、最終的にどのモデルを選ぶべきか、悩むところだと思います。ここでは、オーナーになってからの現実(車検や維持)や、ライダーのスタイル別に、最適な選び方を考えていきます。

逆車の車検で注意すべき点

逆車の車検で注意すべき点
イメージ:motofrontier

逆車オーナーにとって、2年ごとに訪れる最大のハードルが「車検」です。先ほどのUS仕様のヘッドライト光軸問題は最大のリスクですが、それ以外にも注意すべき点があります。

騒音規制

国内仕様に比べ、逆車の純正マフラーは(もちろん輸出先の国の規制には適合していますが)排気音が大きめに設定されている傾向があります。

もし購入した車両が社外マフラー(スリップオンやフルエキゾースト)に交換されていた場合、日本の厳格な騒音規制(特に年々厳しくなる近接排気騒音や加速騒音)をクリアできず、車検不合格となる可能性がかなり高いです。

車検のたびに、入手が困難な「逆車用の純正マフラー」(国内仕様とは別物です)に戻す手間や、車検対応の(高価な)マフラーに買い替えるコストが発生するかもしれない、というリスクは知っておくべきですね。

【マコトのメモ】車検対応マフラーという「安心」を買う

もし購入した逆車のマフラーが爆音で、純正マフラーも手元にない場合、車検のたびにビクビクするのは正直しんどいですよね…。

そんな時の現実的な解決策が、「JMCA認定」(全国二輪車用品連合会)のプレートが付いた、車検対応の社外マフラーに交換してしまうことです。

これなら堂々と車検を通せますし、CBR600RR(PC37/PC40)用も、アクラポビッチやヨシムラ、モリワキといった一流メーカーからリリースされています。中古車を購入する際は、こうした「安心を買う」ための予算も少し考えておくと良いかもしれませんね。

▼CBR600RR (PC40/PC37) 車検対応マフラー

排出ガス

こちらは純正状態であれば問題ないことが多いですが、セッティングがずれていたり、触媒(キャタライザー)が抜かれたマフラーに交換されていたりすると、排ガス検査(CO/HC濃度測定)で不合格になる可能性もあります。

部品調達の特殊性

見落とされがちなのが、故障時の部品調達です。ブレーキパッドやオイルフィルターなどの消耗品、多くの外装部品は国内仕様と共通で、日本のホンダディーラーで容易に入手できます。

しかし、問題は「逆車専用部品」です。ECU、スロットルボディ、インテークファンネル、純正マフラー、メインハーネスなど、フルパワーの根幹を成す部品は国内のパーツリストに存在しないため、ディーラーでは注文できません。

これらの部品が故障した際は、海外のパーツリストを調べ、専門の輸入業者を通じて取り寄せる必要があり、時間とコストが余計にかかる可能性があります。

国内仕様のフルパワー化は現実的か

国内仕様のフルパワー化は現実的か
イメージ:motofrontier

「安い国内仕様の中古を買って、後からフルパワー化すればいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。私も考えたことがあります。コストを抑えつつ、フルパワーが手に入るなら理想的ですよね。

しかし、この「フルパワー化」、私たちが想像するより遥かに大変で、コストもかかります。

前述の通り、国内仕様のパワー制限は、ECUのマップ(ソフト)だけではありません。スロットルボディの口径インテークファンネルエキゾーストシステムといった、物理的なハードウェア(部品)そのものが逆車とは別物なんです。

真のフルパワー化(逆車コンバート)に必要な部品

(例:PC40の場合)

  • 逆車(欧州仕様)のECU
  • 逆車(欧州仕様)のスロットルボディ(大径のもの)
  • 逆車(欧州仕様)のインテークファンネル
  • 高効率なエキゾーストシステム(逆車純正 or 社外フルエキ)
  • (場合によっては)逆車仕様のメインハーネス

これらの「逆車専用部品」は、国内では新品で注文できず、海外オークションや中古部品市場で、根気よく探すしかありません。特にECUやスロットルボディは希少かつ高価で、状態の良いものを見つけるのは困難です。

結果として、(安価な国内仕様の中古車価格)+(フルパワー化のための部品代)+(交換・セッティング工賃)の総額が、最初から状態の良い逆車の中古車価格を上回ってしまうというケースがほとんどです。

コストと信頼性(寄せ集めの部品で組んだ改造車になるため)を考えると、「フルパワーが欲しいなら、最初から本物の逆車を買う」のが、圧倒的に賢明な選択だと私は思います。

サーキット派は逆車、街乗り派は国内

結局のところ、どちらが「正解」かは、ライダーがバイクに何を求めるか、どんな走り方をするかによります。

逆車(フルパワー)が最適な人

  • サーキット走行愛好家 定期的にサーキット走行会やレースに参加し、マシンに「速さ」を求めるライダー。国内仕様では、まずフルパワー化しなければスタートラインにさえ立てません。
  • パフォーマンス至上主義者 600ccスーパースポーツにホンダが込めた、妥協のない120 PSのポテンシャルを100%引き出したいと考えるライダー。
  • 「本物」志向のライダー 設計者の意図がそのまま反映された、グローバルスタンダードの「本物のCBR600RR」を所有することに価値を見出すライダー。

国内仕様が適している人

  • 公道走行(ストリート)メインのライダー 120 PSのフルパワーよりも、日本の公道で多用する低中速域での扱いやすさや、マイルドなスロットルレスポンスを重視するライダー。
  • 予算重視の購入者 中古車市場において、逆車よりも安価に入手可能な個体を求めているライダー。初期費用を抑えることを最優先とする場合。
  • 車検の「安心」を求めるライダー 騒音や光軸、排ガスなど、車検に関する一切の心配や手間を排除したいと考えるライダー。ホンダの正規ディーラーで整備を受けられる安心感も魅力です。

状態の良い国内仕様という選択肢

「CBR600RR」というバイクを探していると、どうしても「逆車」「フルパワー」という言葉に目が行きがちです。その魅力は否定できませんし、私も憧れます。

ですが、忘れてはいけないのは、国内仕様であっても約78馬力(PC40)あるということです。

これは、日本の公道で走るには十分すぎるほどのパワーです。78馬力でも、スロットルを大きく開ければ、あっという間に非日常的な加速を体験できます。むしろ、フルパワーを持て余してストレスを感じるよりも、78馬力をきっちり使い切る楽しみ方もあります。

無理に高価でコンディションが不明瞭な(もしかしたらUS仕様かもしれない)逆車を探すよりも、状態が良く、大切に乗られてきた「国内仕様」を選び、その差額でタイヤやメンテナンス、ライディングギアにお金をかけることも、CBR600RRを長く楽しむための非常に賢い選択肢の一つだと、私は思いますよ。

【コラム】公道メインなら「CBR650R」という現代の最適解も

この記事を読んで「120馬力どころか、78馬力でも持て余しそう…」「もっと公道で扱いやすくて、維持費も安心なバイクがいいかも」と感じた方もいるかもしれませんね。

もし、サーキット走行よりも公道でのツーリングや街乗りがメインなら、現行モデルの「CBR650R」は非常に良い選択肢になります。CBR600RRが「SS(スーパースポーツ)」なら、CBR650Rは「F(ロードスポーツ)」という立ち位置で、まさに「公道での扱いやすさ」と「スポーツ性能」を両立させたモデルです。

もちろん「RR」ほどの鋭さはありませんが、それでも十分すぎるほどのパワーは持っていますし、燃費や維持費といった現実的なコストパフォーマンスも優秀です。

CBR650Rの実際の性能や維持費、カスタムについては、こちらの記事でも詳しくレビューしているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

CBR600RR(逆車)という中古のロマンを選ぶか、CBR650Rという現代のベストバランスを選ぶか。悩ましいところですね!

CBR600RR 逆 車に関するQ&A

最後に、この記事を読んでCBR600RRの逆車について気になっているであろうポイントを、Q&A形式でまとめてみました。中古車選びの最後の確認として、ぜひ役立ててくださいね。 Q1: CBR600RRの逆車を中古で探すとき、一番確実な見分け方は何ですか?

Q1: CBR600RRの逆車を中古で探すとき、一番確実な見分け方は何ですか?

A1: 一番確実なのは、車検証(自動車検査証)の「型式」欄を確認することです。
国内仕様は「BC-PC40」や「EBL-PC40」のように必ずアルファベットの規制コードで始まりますが、逆車は「-」(ハイフン)、「不明」、または「PC40」(コード無し)のように記載されています。スピードメーター(299km/h表示など)は後から交換できてしまうので、車検証の情報が最強の証拠ですね。

Q2: 逆車と国内仕様の馬力差は、具体的にどれくらいですか?

A2: かなりの差がありますよ。例えばPC40世代(2007-2016)を例にすると、国内仕様が約78馬力なのに対し、逆車(欧州仕様など)は約120馬力です。
その差は実に40馬力以上。これはもう「別物のバイク」と言っていいレベルかなと思います。高回転まで回した時のパワーの伸びが全く違います。

Q3: 安い国内仕様を買って「フルパワー化」するのはお得ですか?

A3: 正直なところ、あまりオススメはしませんね…
国内仕様のパワー制限は、ECUのマップだけでなく、スロットルボディの口径やインテークファンネルといった物理的な部品(ハードウェア)レベルで行われています。これらの逆車用純正部品を中古で集めるのは非常に大変ですし、費用もかさみます。結局、最初から状態の良い逆車を買うより高くついてしまった…というケースがほとんどです。

Q4: US仕様(北米仕様)の逆車は何が問題なんですか?

A4: 最大の問題は「車検」です。
US仕様(北米仕様)は、日本とは交通ルールが逆の「右側通行」用です。そのため、ヘッドライトの光軸が「左上がり」の配光になっています。日本の保安基準(左側通行用)とは光軸が真逆なので、そのままでは100%車検に通りません。
これをクリアするには、高価な日本仕様や欧州仕様のヘッドライトユニット一式に交換する必要があり、大きな追加出費になる可能性が高いのが最大のリスクです。

Q5: 年式だけで逆車と判断できるモデルはありますか?

A5: ありますよ!これは中古車選びの「キモ」かもしれません。
PC40世代の「2009年、2010年、2011年、2012年式」の4年間は、日本国内ではCBR600RRの国内仕様が販売されていませんでした(空白期間)。
なので、この「空白期間」の年式の中古車は、ほぼ100%逆車(逆輸入車)であると判断できます。一つの強力な目安になりますね。

まとめ:CBR600RR 逆 車との向き合い方

CBR600RRの逆車について、馬力の違いから見分け方、注意点まで詳しく解説してきました。最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。

  • 逆車は約120馬力、国内仕様は約78馬力(PC40)と大きな性能差がある
  • 最も確実な見分け方は車検証の「型式」欄(BC-やEBL-の有無)
  • メーターが299km/hでもメーター交換済みの国内仕様に注意
  • US仕様の逆車はヘッドライト光軸の問題でそのままでは車検にほぼ通らない
  • 国内仕様のフルパワー化は部品代と手間で割に合わないことが多い
  • 2009年~2012年式は国内仕様が存在しないため、ほぼ逆車確定
  • 公道メインなら扱いやすい国内仕様、サーキットなら逆車が合理的

「CBR600RR 逆 車」というキーワードで検索すると、フルパワーの魅力的な情報がたくさん出てきます。しかし、大切なのは、あなたが「どんな風に」バイクに乗りたいかです。

サーキットでその性能を使い切りたいのか、それとも公道でワインディングを気持ちよく走りたいのか。ご自身のライディングスタイルと、車検や維持の現実的な側面(リスク)を天秤にかけて、あなたにとって「最高の一台」を見つけてくださいね。

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