こんにちは。「motofrontier」の「マコト」です。
CBR600RRの馬力について調べているんですね。このバイク、年式や仕様によって馬力が全然違うので、混乱する気持ち、すごく分かります。私自身、中古車を探していた時に「こっちは78馬力なのに、こっちは120馬力? 型式は同じPC40なのに?」と頭を抱えた経験がありますから。
特にPC37やPC40といった歴代モデルでは、国内仕様の78馬力と、逆車のフルパワー(約120PS)で大きな差がありました。かと思えば、2020年に復活した現行モデルは121PSと、昔の逆車並みのパワーを国内仕様で達成しています。
「結局、どのモデルが何馬力なの?」「78馬力って公道じゃ遅いの?」「旧モデルのフルパワー化は必要なんだろうか?」など、疑問が尽きないかもしれません。
この記事では、CBR600RRの馬力に関するそんな複雑な事情を、歴代モデルのスペック比較から、なぜ馬力差が生まれたのかという背景、そして現行モデルの技術的なスゴさまで、スッキリと整理していきます。あなたのバイク選びに最適な一台を見つけるお手伝いができれば嬉しいです。
あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?
- ✅歴代モデルの馬力が国内仕様と逆車でどう違うか知りたい
- ✅78馬力の国内仕様は本当に「遅い」のか気になる
- ✅旧モデルのフルパワー化の方法や注意点を知りたい
- ✅現行の121PSモデルがなぜ「最適解」と言われるのか知りたい
もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。
CBR600RRの馬力は年式と仕様で大違い

CBR600RRの馬力と一口に言っても、実はモデルの年式や「国内仕様」か「逆輸入車(逆車)」かで、数値が全く異なります。特に中古市場ではこれらが混在しているため、購入を検討している方はまず、この違いをしっかり理解しておく必要がありますね。まずは、読者さんが一番気になっているであろう、具体的な馬力の違いから見ていきましょう。
歴代モデルの馬力を国内・逆車で比較

CBR600RRは、大きく分けて初期の「PC37」と、その後の「PC40」、そして2020年以降の現行モデル(こちらも型式はPC40ですが中身は別物です)に分かれます。特にPC37とPC40の中古車市場では、国内仕様と逆車が混在していて、ここが一番の混乱ポイントかもしれません。
主要モデルの馬力をざっくりと一覧表にまとめると、こんな感じです。
| モデル (型式) | 仕様 | 最高出力 (参考) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2003年〜 (PC37) | 国内仕様 | 約69PS | 当時の国内自主規制に対応 |
| 2003年〜 (PC37) | 逆輸入車 (フルパワー) | 約117PS | 欧州仕様など |
| 2007年〜 (PC40) | 国内仕様 (2013年〜) | 約78PS | 国内正規販売モデル |
| 2007年〜 (PC40) | 逆輸入車 (フルパワー) | 約119PS〜120PS | 欧州・北米仕様など |
| 2020年〜 (8BL-PC40) | 現行・国内仕様 | 121PS | 令和2年排出ガス規制対応 |
(※馬力は年式や仕向地によって細かく異なりますので、あくまで参考値です)
見ての通り、旧モデル(PC37やPC40)の国内仕様と逆車では40馬力以上、モデルによっては50馬力近い差があるんです。これはもう、別のバイクと言ってもいいレベルの違いですよね。軽自動車とスポーツカーくらいの違い、と言ったら大げさかもしれませんが、それくらいのインパクトがあります。
一方で、2020年以降の現行モデルは、厳しい最新の規制をクリアした「国内仕様」でありながら121PSと、かつての逆車を超えるパワーを発揮しています。これがどれだけ画期的なことか、少しずつ見えてきたんじゃないかなと思います。
PC37(逆車)の馬力は約117PS
2003年に登場した初代CBR600RR(PC37)。これはもう、衝撃的なデビューでした。当時のMotoGPマシン「RC211V」のレプリカとして、センターアップマフラーやユニットプロリンクサスペンションなど、レースの技術が惜しみなく投入されていました。
当時の輸出仕様(逆車)の馬力は、約117PSと言われています。600ccの車体にこのパワーですから、その戦闘力は推して知るべし、ですね。まさにサーキット直系のマシンでした。
ただ、残念ながら当時の日本には正規導入されず、国内仕様車(約69PS)が存在するのみでした。これは当時の国内メーカーによる自主規制(750cc超は100PS、400cc超は69PSなど)の影響が大きかったと言われています。今中古でPC37を探すなら、この「69PS」なのか「117PS」なのかは、天と地ほどの差がありますね。
PC40(逆車)の馬力は約119PS
2007年にフルモデルチェンジした2代目(PC40)。デザインが一新され、エンジンもさらに熟成。PC37から大幅な軽量化も果たし、戦闘力がさらに高まりました。
このモデルも、輸出仕様(逆車)は約119PS〜120PSと、600ccクラスの限界に挑むようなハイパワーを誇っていました。サーキットでは敵なし、といったところでしょうか。
しかし、です。このPC40が2013年から国内でも正規販売が始まったのですが、その発表されたスペックは…78PS。これには当時、多くのライダーが驚いたというか、正直ちょっとがっかりした記憶があります。「なぜ、今になって78馬力なんだ…」と。もちろん、これにはちゃんとした理由があるんです。
なぜ?78馬力と120馬力の馬力差の真実
「なんで国内仕様だけそんなにパワーダウンしてるの?」と思いますよね。しかもPC37の69PSならまだしも、PC40で78PSという中途半端にも思える数値。ここでは、かつての国内仕様がなぜこれほどまでにパワーを制限されていたのか、その理由と具体的な「デチューン」の内容について、もう少し詳しく掘り下げてみます。
国内仕様の馬力が78馬力(69馬力)の理由
一番の理由は、シンプルですが非常にやっかいなものでした。それは、年々厳しくなる日本国内の「騒音規制」と「排出ガス規制」です。
厳しい国内規制の壁
特にスーパースポーツのような高回転型エンジンは、パワーを出そうとすればするほど、高周波の甲高い排気音が出やすくなります。また、高回転・高出力を狙うと、排出ガス中の有害物質を浄化する「触媒」の性能もシビアになります。
当時の技術で、逆車と同じフルパワー(約120PS)を維持したまま、これら日本の厳しい規制を両方クリアするには、莫大な開発コストがかかる状態でした。マフラーや触媒を大型化すれば重くなりますし、パワーも落ちてしまいます。
そこで、メーカーとしては苦渋の決断だったと思いますが、出力を大幅に抑える(デチューンする)ことで、規制をクリアして国内市場に投入する、という選択をしたわけですね。
78PSという数値は、CBR600RR(PC40)だけでなく、同時期に国内正規販売されたライバル車、例えばヤマハのYZF-R6なども似たような馬力設定でした。まさに、ミドルスーパースポーツにとって「冬の時代」だったのかもしれません。
馬力制限(デチューン)の具体的な内容

じゃあ、具体的にどうやって120PS近いパワーを78PSにまで抑えていたのか。これは単に「リミッターを付けた」というような単純な話ではありません。かなり物理的な手が加えられています。
物理的な吸気制限(インテーク)
最も分かりやすいのが吸気系です。エンジンがパワーを出すには、たくさんの空気(混合気)が必要ですが、その空気の通り道を意図的に狭くしていました。
- スロットルボディの口径縮小: 逆車よりも細いスロットルボディを使い、吸い込める空気の最大量を制限。
- ファンネル(吸気口)の違い: エンジンに空気を送るラッパ状の部品(ファンネル)を、高回転でパワーが出にくい形状のものに変更。
- エアインテークダクト: 一部のモデルでは、フレームを通る空気の通り道(ラムエアダクト)の一部を塞いだり、意図的に狭くしたりしていました。
これらによって、物理的に吸える空気の量を減らし、特にパワーの源泉となる高回転域での「伸び」を強制的に止めていたんですね。
ECU(コンピュータ)の制御
もう一つがECU(エンジン・コントロール・ユニット)、つまりバイクの頭脳であるコンピュータの制御です。国内仕様専用の燃調マップ(燃料噴射量)や点火タイミングが設定されていました。規制をクリアするために、パワーが出にくい「おとなしい」セッティングになっていたわけです。
排気系(マフラー)の違い
もちろん排気系も違います。国内の厳しい騒音規制をクリアするため、サイレンサー内部の構造がより消音効果の高い(=排気効率の悪い)ものに変更されていました。また、排出ガス規制対応のため、大型の触媒が搭載され、これが「フン詰まり感」の原因となり、高回転でのパワーダウンに繋がっていました。
旧モデルのフルパワー化は可能か?
「じゃあ、中古で買った国内仕様をフルパワー化できる?」という疑問も当然ありますよね。これらの制限パーツを逆車のものに交換すれば、理論上は可能です。
結論から言うと、「可能だけど、コストと手間、そしてリスクが非常にかかる」というのが答えになるかなと思います。
前述の通り、吸気系の物理的なパーツ(スロットルボディやファンネル、ダクトなど)をすべて輸出仕様のものに交換し、さらにECUも輸出仕様のものに交換するか、サブコン(追加コンピュータ)などでセッティングを大幅に書き換える必要があります。マフラーも逆車用に交換する必要があるでしょう。
フルパワー化の注意点
- 高額なコスト: これらの純正パーツを新品で揃えると、パーツ代と工賃で数十万円かかるケースも珍しくありません。
- パーツ入手の困難さ: 年式が古くなると、輸出仕様の純正パーツ自体の入手が困難になります。中古パーツを探すのも一苦労です。
- 車検の問題: マフラー交換やECU変更により、騒音や排出ガスの規制値をオーバーし、車検に通らなくなる可能性が非常に高いです。
- セッティングの沼: パーツを組んだだけでは調子が出ず、専門ショップでのシビアなセッティングが必要になることも多いです。
こうした理由から、最初から逆車(フルパワー仕様)の中古を探した方が、結果的に安くて確実、という場合がほとんどかもしれませんね。
こうした「逆輸入車(並行輸入)」ならではのメリットや中古車探しの注意点については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【関連記事】 CBR600RRの並行輸入(逆車)徹底ガイド!メリット・デメリットは?
78馬力は公道で遅い?扱いやすさの利点

「78馬力」と聞くと、逆車の120馬力と比べて「すごく遅いんじゃないか」と心配になるかもしれません。特に大型バイクからの乗り換えだと、物足りなさを感じるのでは?と思うかも。
でも、本当にそうでしょうか?
断言しますが、公道で走る分には78馬力でも十分すぎるほどのパワーです。日本の法定速度(一般道60km/h、高速100km/h)を考えれば、78馬力を使い切る場面はまずありません。高速道路の合流や追い越しでも、パワー不足を感じることは皆無でしょう。
むしろ、国内仕様には逆車にはない大きなメリットがあります。それは「中低速トルクの扱いやすさ」です。
逆車フルパワーの「ピーキーさ」とは
逆車の120馬力は、そのパワーの美味しいところがサーキット走行を前提とした超高回転域(例えば10,000回転以上)に集中しています。これは「パワーバンドが狭い」とも言えます。
逆に、公道で多用する中低速域(〜8,000回転くらい)は、むしろトルクが細く、ギクシャクして乗りにくい…なんてことも。信号待ちからの発進や、街中のノロノロ運転では、そのパワーを持て余してストレスを感じる可能性すらあります。
国内仕様のメリットは「日本の公道への最適化」
国内仕様の78馬力モデルは、ピークパワーを抑えられている代わりに、街乗りで使う中低速域がスムーズで扱いやすいようにセッティングされています。デチューンというより「日本の公道向けにリチューン(再調整)された」と考えるのが正しいかもしれません。
「公道メインで、ストレスなくCBR600RRのSSらしい雰囲気を楽しみたい」という人にとっては、実は国内仕様の方が幸せになれる可能性も高いんですよ。
現行121PSが両立したパワーと扱いやすさ
旧モデルでは「サーキットのフルパワー(逆車)」か「公道の扱いやすさ(国内仕様)」かの二択を迫られることが多かったですよね。しかし、2020年に劇的な復活を遂げた現行モデルは、その常識をテクノロジーの力で打ち破りました。まさに「技術の勝利」と言えるモデルチェンジです。
2024年現行モデルの馬力は121PS

2020年にフルモデルチェンジを果たし、2024年モデルとしてさらに熟成された現行CBR600RR(8BL-PC40)。
その公式スペックは、なんと最高出力 89kW (121PS) / 14,250rpm。
これは、かつての逆車(PC40)の約119PSすら上回る数値です。しかも、これが世界で最も厳しいとも言われる日本の「令和2年排出ガス規制」をクリアした上での「国内正規仕様」だというから驚きですよね。
まさに、技術の進歩が「国内仕様=デチューン」という悲しい過去を完全に過去のものにした瞬間です。ホンダのエンジニアさんたちの執念を感じますね。
馬力と扱いやすさを両立した電子制御

「121PSなんて、結局また高回転型で扱いにくいピーキーなエンジンなんじゃないの?」と思うかもしれません。私も最初はそう思ってました。旧モデルの逆車のイメージがありましたからね。
でも、現行モデルが旧モデルの逆車と決定的に違うのが「スロットルバイワイヤ(TBW)」をはじめとする、MotoGPゆずりの最新の電子制御システムです。
核心技術「スロットルバイワイヤ(TBW)」
スロットルバイワイヤ(TBW)は、ライダーのスロットルグリップ操作を、従来のワイヤーではなく電気信号でECUに伝達。ECUがエンジンの状態(回転数やギア)や車体の状況(IMUからの情報)を判断し、最適なスロットルバルブの開き具合をモーターで電子的に制御してくれるシステムです。
これが何を意味するかというと、121PSを出すために必要な大径スロットル(空気をたくさん吸うための大きな口)を搭載しても、発進時や低速域ではECUが「あえて」スロットルバルブの開きを穏やかにしてくれるんです。おかげで、旧モデルの逆車にあったような低速でのギクシャク感が驚くほど抑えられています。
5段階のパワーセレクター
さらに、ライダーの好みや状況に合わせて出力特性を選べる「パワーセレクター」も搭載されています。これは単なる馬力制限ではありません。
- レベル1 (P1): 最もダイレクト。ライダーのスロットル操作にリニアにパワーが立ち上がる、最もアグレッシブなモード。(サーキット向け)
- レベル5 (P5): 最も穏やか。ライダーがスロットルをガバッと開けても、ECUが「はいはい、落ち着いて」とパワーの出方をジェントルにしてくれるモード。(雨の日や街乗りに最適)
このP5モードの存在が、121PSマシンを78PSモデルのように(あるいはそれ以上に)扱いやすくしている秘密なんですね。
IMUと各種制御
加えて、BOSCH製の6軸IMU(慣性計測ユニット)が車体の姿勢をリアルタイムで検知。これにより、トラクションコントロール(HSTC)やウイリーコントロール、さらにはコーナリングABSまで、121PSのパワーを安全に路面に伝えるための電子制御が満載です。これぞ現代のスーパースポーツですね。
ライバルZX-6Rとの馬力比較

現行ミドルスーパースポーツの国内正規モデルとして、唯一無二のライバルがカワサキ「Ninja ZX-6R」です。この2台、馬力も近いですが、その「思想」が全く違って面白いんですよ。
| 項目 | Honda CBR600RR | Kawasaki Ninja ZX-6R |
|---|---|---|
| 排気量 | 599cc | 636cc |
| 最高出力 | 121PS / 14,250rpm | 126PS / 13,500rpm |
| (ラムエア加圧時) | – | 132PS / 13,500rpm |
| 最大トルク | 6.4kgf·m / 11,500rpm | 7.1kgf·m / 11,000rpm |
| 車両重量 | 193kg | 197kg |
(※スペックは2024年モデルの国内仕様を参考にしています)
この表から読み取れる最大の違いは「排気量」です。
CBR600RR:「純血」のレースレプリカ
ホンダは、あくまでレース規定(スーパースポーツ600)の排気量上限である599ccにこだわりました。この限られた排気量から121PSを絞り出すため、エンジンは超高回転型になっています(ピークパワーは14,250rpm!)。まさに「純血のレーサー」であり、高回転まで回し切る官能性を重視した設計です。
Ninja ZX-6R:「公道」のストリートウェポン
一方、カワサキはレース規定からあえて逸脱し、636ccという排気量を選択しました。この+37ccの余裕は、公道で多用する中速域のトルクを太らせるために使われています(トルクがCBRよりかなり厚いのが分かります)。「レース」よりも「公道での扱いやすさと実質的な速さ」を重視した、合理的な設計思想ですね。
どちらが優れているかではなく、ライダーが「回し切る快感」を求めるか、「トルクフルな扱いやすさ」を求めるかで、好みが分かれるところだと思います。
サーキットと公道の両方に対応する性能
旧モデルの逆車が持つ120馬力は、はっきり言ってサーキットでしか真価を発揮できませんでした。公道ではその性能のほとんどを封印したまま走ることになり、「宝の持ち腐れ」感があったのも事実です。
しかし、現行の121PSモデルは違います。まさに「二面性」を持っています。
公道では: スロットルバイワイヤとパワーモード(P3〜P5)のおかげで、かつての78馬力モデルのように(あるいはそれ以上に)従順で扱いやすく走れる。スーパースポーツの鋭いハンドリングと官能的な音だけを、安全に楽しむことができます。
サーキットでは: モードをP1に切り替えれば、121PSのフルパワーとIMU連動の電子制御がライダーをサポート。安全マージンの中で、自分の限界、マシンの限界にチャレンジできる純粋なレーサーに変貌します。
これ一台で、公道ツーリングからサーキット走行会まで、あらゆる場面で「操る楽しさ」を味わえる。これこそが、高価な現行CBR600RRの最大の価値だと私は思いますね。
121PSのハイパワーを公道やサーキットで安全に楽しむためには、バイクの性能に見合った安全装備が絶対に不可欠です。
特にヘルメットやグローブは、マシンの性能に合わせて最新のものに見直すことを強くおすすめします。CBR600RRに相応しいトップクラスの装備で、万全の体制でライディングを楽しみましょう。
用途で選ぶ「自分に最適な馬力」とは

ここまで歴代モデルの馬力の違いを見てきました。スペックの違いは分かったけど、「じゃあ、結局のところ、自分にはどのモデル、どの馬力が合っているの?」というところが一番の悩みどころですよね。最後に、あなたのバイクライフの用途や予算に合わせて、最適な選び方を考えてみましょう。
中古で選ぶなら逆車か国内仕様か
もし予算の都合で旧モデル(PC37やPC40)の中古車を狙うなら、この選択は非常に重要です。「どうせ乗るならフルパワーの逆車でしょ!」と考える気持ちも分かりますが、ちょっと待ってください。
- すでにバイク経験が豊富で、ハイパワーを扱える自信がある
- 購入の目的が「サーキット走行」メインである
- フルパワー化のコストや手間、車検のリスクを後から負いたくない
- ピーキーな特性も含めて「じゃじゃ馬」を乗りこなすのが好き
「フルパワー」という響きは魅力的ですが、相応のライディングスキルと、コンディションを維持するためのコスト(適切なセッティングやメンテナンス)を覚悟する必要があるかもしれません。
- 公道でのツーリングや街乗りがメインである(サーキットは走らない)
- CBR600RRのスタイルやサウンドに乗りたいが、パワーがありすぎるのは不安
- ピーキーさよりも、ストップ&ゴーの多い日本の公道での「扱いやすさ」を重視したい
- 比較的、状態の良い中古車を低予算で見つけたい
「デチューン」と侮るなかれ。「日本の公道への最適化(ジャパンスペック)」と捉え直すと、78馬力モデルは非常に賢明で、コストパフォーマンスの高い選択肢だと言えますよ。
新車で得る合法フルパワーという選択
もし予算に余裕があるなら、そしてCBR600RRというバイクの性能を骨の髄まで味わい尽くしたいなら、私は現行モデル(121PS)の新車を強くおすすめします。価格は約160万円と高価ですが、それには明確な理由があります。
「合法フルパワー」という絶対的な安心感
旧モデルのフルパワー化は、騒音や排ガスの問題で車検に通らないリスクが常につきまといます。その点、現行モデルはメーカーが正規に販売する「合法的な121PS」です。排気音も規制値内で最高のサウンドを奏でるよう設計されています。車検のたびにビクビクしたり、パーツを元に戻したりする必要が一切ない。この精神的なメリットは非常に大きいです。
メーカー保証と最新の電子制御
旧モデルの逆車は、当然ながらメーカー保証はありませんし、電子制御もABSくらい(ABS非搭載モデルも多い)です。その点、新車なら手厚いメーカー保証が付きますし、何よりスロットルバイワイヤやIMUといった最新の安全装備が標準で手に入ります。121PSというパワーを安全に楽しむための「保険」として、これ以上ない価値があると思います。
高いリセールバリュー
ミドルクラスのスーパースポーツは、今や国内外で非常に貴重な存在です。特に「国内正規フルパワー」のCBR600RRの人気は非常に高く、将来的なリセールバリュー(売却時の価格)もかなり期待できます。数年乗って売却する際のことを考えると、初期費用は高くても、トータルのコストは旧モデルとあまり変わらない、なんて可能性もありますね。
現行CBR600RRの購入を決めたら、次はカスタムプランを考えるのも楽しい時間ですよね。
純正でも素晴らしいサウンドですが、車検対応のスリップオンマフラーで、より自分好みのサウンドとスタイルを手に入れるのもおすすめです。定番のフェンダーレスキットやスクリーンと合わせて、自分だけの一台に仕上げてみてはいかがでしょうか?
CBR600RR 馬力に関するQ&A
最後に、CBR600RRの馬力についてよくある質問をQ&A形式でまとめました。あなたの疑問解消に役立ててくださいね。
Q1: CBR600RRの国内仕様78馬力モデルは、本当に「遅い」ですか?
A: 結論から言うと、公道ではまったく遅くありません。むしろ、日本の法定速度内では十分すぎるパワーを持っています。
確かにサーキットで逆車(フルパワー)と乗り比べれば、高回転域でのパワー差は歴然としています。しかし、公道で多用する中低速域は、78馬力モデルの方がスムーズでトルクフルに感じられるようセッティングされており、「扱いやすい」という大きなメリットがありますよ。
Q2: 旧モデル(PC40)の国内仕様を買って、後からフルパワー化するのはおすすめですか?
A: あまりおすすめはできませんね。
フルパワー化するには、吸気系の物理的なパーツ(スロットルボディやファンネルなど)の交換や、ECU(コンピュータ)の交換または書き換えが必要です。これらにパーツ代と工賃で数十万円の費用がかかることも珍しくありません。
さらに、マフラー交換なども伴うと、騒音や排出ガスの規制をクリアできず、車検に通らなくなるリスクも抱えます。最初から逆車(フルパワー仕様)の中古を探す方が、結果的にコストが安く、手間もかからない場合がほとんどだと思いますよ。
Q3: 現行モデルの121PSは、旧モデルの逆車(約120PS)と同じくらい扱いにくいですか?
A: いいえ、扱いやすさは別次元です。
これが現行モデルの最大の強みですね。旧モデルの逆車は、パワーが超高回転域に集中していて、街乗りではギクシャクしがちでした。
しかし、現行モデルには「スロットルバイワイヤ(TBW)」という電子制御スロットルが搭載されています。これにより、パワーモードを切り替えるだけで、街乗りでは78馬力モデルのように穏やかに、サーキットでは121PSを解放する、といった調整が自在です。パワーと扱いやすさを両立しているのが、現行モデルの凄さですね。
CBR600RRの馬力とバイク選びの結論
CBR600RRの馬力について、歴代モデルから現行まで、その違いと背景を詳しく見てきました。最後に、この記事の最も重要なポイントをまとめておきますね。
- 旧モデルは国内仕様(約70〜78馬力)と逆車(約120馬力)で全く別物
- 国内仕様の78馬力は「日本の公道に最適化」された仕様で、扱いやすいのがメリット
- 逆車の120馬力はサーキット向けのピーキーな特性で、公道では持て余す可能性も
- 現行モデルは121PSのフルパワーと、電子制御による「公道での扱いやすさ」を両立した最適解
- 自分の用途(公道メインかサーキットか)と予算で「必要な馬力」を賢く見極めるのが大事
「馬力」という数字は、バイク選びの分かりやすい指標ですが、それが全てではありません。特にCBR600RRのようなスーパースポーツは、そのパワーを「どう扱えるか」「どう楽しめるか」が楽しさの鍵を握っています。
旧モデルのロマンを追い求め、78馬力の扱いやすさを選ぶのも、フルパワーのじゃじゃ馬に挑むのも、素晴らしい選択です。そして、現行モデルで最新技術の恩恵を受け、パワーと扱いやすさを両立するのも、現代の賢い選択だと思います。
ぜひ、この記事を参考にして、あなたにとって最高の「CBR600RR」を見つけてくださいね。