こんにちは。「motofrontier」の「マコト」です。
先日、ツーリング中に横断歩道で小学生が渡るのを待っていたら、渡り終えた後にこちらに向かってペコリと一礼してくれました。なんだかヘルメットの中で目頭が熱くなり、とても温かい気持ちになりましたね。
さて、そんな穏やかな日常とは対照的に、今回は少し刺激的な選択肢である「ヤマハ MT-09」についてお話しします。このバイクに憧れつつも、ネットで調べ始めると「買って後悔した」という声や、「燃費が悪い」といった維持費への不満、さらにはシート高による「足つきへの不安」など、気になる評価ばかりが目について購入を躊躇していませんか?
また、弟分のMT-07とどちらにするか迷っていて、価格差に見合うだけのツーリング性能があるのか気になっている方も多いはずです。実際にこのバイクが持つ「光と影」をしっかりと理解した上で選ばないと、納車後に思わぬミスマッチに苦しむことになるかもしれません。
- ✅ MT-09の評判を見ると「過激すぎる」と書いてあり、自分に扱えるか不安だ
- ✅ 燃費や航続距離の短さが、ロングツーリングでどれくらいストレスになるか知りたい
- ✅ MT-07と迷っているが、価格差分の満足感がMT-09にあるのか判断できない
- ✅ せっかく買うなら後悔したくないので、年式ごとの不満点や注意点を把握しておきたい
もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。
MT-09を買って後悔する致命的な理由とは

MT-09は、そのパフォーマンスの高さゆえに、一般的なネイキッドバイクとは少し異なる「尖った」特性を持っています。多くのライダーがその圧倒的な加速力に魅了される一方で、日常的な使い勝手において「こんなはずじゃなかった」と頭を抱えるケースも少なくありません。
ここでは、購入したオーナーが実際に直面しがちな、日常使いやツーリングにおける具体的なネガティブポイントについて、包み隠さず解説していきます。
燃費が悪く航続距離が短いという欠点
MT-09を所有する上で、多くのライダーが最初に直面する、そして最も長く付き合わなければならない壁が「航続距離の短さ」です。これは単なる数値の問題ではなく、ツーリング中の精神的な余裕(安らぎ)を奪う深刻な問題となり得ます。
14Lタンクが生む「レンジ・アングザエティ(航続距離不安)」
公式サイトのスペック表を確認すると、燃料タンク容量は初代から現行モデルに至るまで一貫して「14L」と記載されています。(出典:ヤマハ発動機『MT-09』価格・仕様)
これは400ccクラスのバイクと比較しても決して多いとは言えない数値です。これに対し、MT-09の心臓部である888cc(または845cc)のCP3エンジンは、回せば回すほどアドレナリンが出る楽しい特性を持っているため、自制心を持って走らなければ実燃費はどうしても20km/L前後に落ち着きます。峠道などでスポーツ走行を楽しめば、16〜18km/L台に落ち込むことも珍しくありません。
【計算上の航続距離と現実の乖離】
- カタログ燃費(WMTCモード値):約20.4km/L
- 理論上の最大航続距離:約285.6km
- 現実的な給油タイミング:約180km〜200km
「計算上は280km走れるじゃないか」と思われるかもしれませんが、ここには「燃料残量警告灯」の罠があります。MT-09の警告灯は、残り約3.0〜3.5L付近で点灯するように設計されています。つまり、実燃費が18km/Lの場合、満タンから約190km走行した時点で警告灯がチカチカと点滅し始めるのです。

マスツーリングで感じる「申し訳なさ」
これがソロツーリングであれば、自分のタイミングで給油すれば良いので大きな問題にはなりません。しかし、アドベンチャーバイク(タンク容量20L以上がザラです)や、燃費の良い250ccクラスの仲間とマスツーリングに行く際は状況が一変します。
仲間たちが「まだあと100kmは余裕で走れるよ」という顔をして走っている中、MT-09乗りのあなただけが「そろそろガソリンスタンド探さないとヤバいかも…」と冷や汗をかくことになるのです。インカムで「ごめん、次のスタンドで給油させて」と伝える時の、あの何とも言えない申し訳なさ。これが毎回続くと、「もっと航続距離の長いバイクにすればよかった」という後悔の念が頭をよぎることになります。
足つき性が悪く立ちゴケのリスクがある
「大型バイクにしては車体が軽いから大丈夫だろう」。購入前にそう高を括っていると、納車日に最初の洗礼を受けることになるのが「足つき性」の問題です。MT-09は軽量コンパクトな車体を持っていますが、足つきに関しては決してフレンドリーではありません。
数値以上に厳しい「825mm」の現実
MT-09のシート高は815mm(初期型)〜825mm(現行型)と、カタログ数値上はごく平均的な大型スポーツバイクの範疇です。しかし、問題はその「形状」にあります。
3気筒エンジンを抱え込むダイヤモンドフレームは意外と幅があり、さらにステップの位置がちょうど足を下ろしたい場所に配置されているため、足を地面に着こうとするとステップがふくらはぎに当たり、足を大きく外側に開かざるを得ないのです。これにより、実際の足つき感は数値以上に悪化します。
足つき不安が出やすいヤマハ車の例として、XSR700の「後悔」ポイントや評価も別記事で整理しています。体格に不安がある方は参考にしてみてください。
ヤマハ XSR700の不人気・後悔の理由を分析した記事
身長別スタンスと立ちゴケのリスク
私が見てきた多くのライダーの事例から、身長別の足つき感を整理してみましょう。
| 身長 | 足つきの目安 | リスクレベル |
|---|---|---|
| 175cm以上 | 両足のかかとが軽く浮くか、べったり着く | 低:不安は少ない |
| 170cm前後 | 両足のつま先立ち、片足ならべったり | 中:油断すると危ない |
| 165cm以下 | 片足のつま先がツンツン | 高:常に緊張を強いられる |
車体が軽い(装備重量190kg前後)とはいえ、つま先立ちでの信号待ちは常にバランス感覚を要求されます。特にツーリングの後半、疲労が蓄積してきた場面や、不意に強風が吹いた瞬間、あるいは路面が轍(わだち)で窪んでいる場所に足を着いてしまった瞬間、車体を支えきれずに「立ちゴケ」してしまうリスクが非常に高いのです。
ブレーキレバーやミラーを折ってしまうだけでなく、「こんなに気を使うバイクだと思わなかった」という精神的なダメージは、所有満足度を大きく押し下げる要因となります。

シートが硬すぎてお尻が痛くなる問題
MT-09オーナーの間で、挨拶代わりに交わされる言葉があります。「お尻、大丈夫ですか?」。それほどまでに、このバイクの純正シートは過酷です。スポーツ走行時の荷重移動を優先した設計思想が、長距離ツーリングにおいては「拷問器具」へと変貌します。
なぜMT-09のシートは痛いのか
主な原因は以下の3点に集約されます。
- 薄くて硬いクッション:路面からの情報をダイレクトに伝えるため、衝撃吸収性が犠牲になっています。
- 前下がりの形状:加速Gに対応するためシートが前傾しており、走行中に身体がタンク側へズレていきます。これにより、尾てい骨一点に体重が集中しやすくなります。
- 絞り込まれた座面幅:足つきを考慮して前方が細くなっており、体重を支える面積が狭いのです。
多くのライダーが「1時間も乗れば違和感が出始め、2時間で痛みに変わり、3時間を超えると休憩のたびにストレッチをしないと歩けなくなる」と証言しています。ツーリングの楽しさは「いかに快適に走り続けられるか」に直結するため、この「尻痛(けつつう)」問題は深刻です。
「コンフォートシート」は実質的な必須装備
この問題を解決するために、ヤマハ自身も「コンフォートシート」というオプションパーツを用意しています。これはクッション厚を増し、座面をフラットに近づけたものですが、価格は3万〜4万円ほどかかります。「最初からこれを標準装備にしてくれればいいのに…」と誰もが思いますが、これは購入後に発生する「隠れたコスト」として覚悟しておく必要があります。
ドンツキが激しくツーリングで疲れる
「Master of Torque(マスター・オブ・トルク)」というコンセプトは、スロットルを開けた瞬間に爆発的な加速力を約束してくれます。しかし、この鋭すぎるレスポンスは、時としてライダーを疲弊させる「諸刃の剣」となります。
初期型(Gen1)オーナーを悩ませる過敏な挙動
特に2014年〜2016年の初期型モデルにおいて顕著なのが、スロットル微開領域での過敏な反応、通称「ドンツキ」です。コーナーの出口で少しだけアクセルを開けたい時や、渋滞路で低速走行をしている時に、ミリ単位の操作をしたつもりでも車体が「ガツン!」と唐突に加速してしまいます。
この挙動により、ライダーは常に右手に神経を集中させ続けなければなりません。サスペンションが柔らかい初期型では、このドンツキによって車体が前後にギッタンバッコンと揺さぶられやすく、同乗者がいればヘルメット同士がぶつかる原因にもなります。
ドライブモードでの対策とジレンマ

MT-09には「Aモード(最強)」「STDモード(標準)」「Bモード(穏やか)」という3つのドライブモードが搭載されています。ドンツキを嫌って常に「Bモード」で走れば非常にスムーズで快適になりますが、それではMT-09本来のパワーや刺激がスポイルされてしまいます。
「せっかくのリッタークラスのパワーを楽しみたいのに、疲れるからパワーを封印して乗る」というジレンマ。これこそが、MT-09を買って後悔するライダーが抱える葛藤の正体です。
ヤマハMT-07と比較してどちらを選ぶべきか
同じヤマハの「MTシリーズ」として、購入検討時に必ずと言っていいほど比較対象に挙がるのが弟分の「MT-07」です。見た目は「ダークサイド・オブ・ジャパン」という共通のデザイン言語で統一されていますが、中身は全くの別物と言っていいほどキャラクターが異なります。「大は小を兼ねる」という言葉だけでMT-09を選ぶと、後悔することになりかねません。
MT-07側の「後悔」や評価については、別記事で詳しく整理しています。比較検討中の方は合わせてどうぞ。
MT-07の「後悔」や評判を徹底解説した記事はこちら
ここでは、どちらを選ぶべきか迷っている方のために、維持費や性能面での決定的な違いを比較し、あなたのライフスタイルに合っているのがどちらなのかを浮き彫りにします。
MT-07とMT-09の維持費の違い
まず現実的なお金の話ですが、同じ大型自動二輪クラス(車検あり)であっても、維持費には明確な差が出ます。「車両価格の差」だけでなく、「走れば走るほどかかるランニングコスト」に目を向ける必要があります。
燃料代:レギュラーとハイオクの壁
MT-07はレギュラーガソリン仕様で、実燃費も23〜28km/Lと非常に優秀です。一方、MT-09はハイオクガソリン指定(※現行モデル等はハイオク推奨)であり、実燃費は17〜21km/L程度です。
例えば、年間10,000km走行すると仮定しましょう。ガソリン価格の差と燃費の差を掛け合わせると、年間で約3万〜4万円ほどの燃料代の差が生まれます。これを「誤差」と捉えるか「大きい」と捉えるかは人それぞれですが、長く乗るほど財布への負担感はボディブローのように効いてきます。
タイヤ消耗のスピードが段違い
さらに見落としがちなのがタイヤ代です。MT-09の強烈なトルクは、リアタイヤを容赦なく削り取っていきます。MT-07であればツーリングタイヤで10,000km〜15,000km持つような乗り方でも、MT-09ではそのパワーゆえに8,000km前後でスリップサインが出ることも珍しくありません。
また、MT-09はその性能を発揮するためにハイグリップ寄りの高価なタイヤを履きたくなる傾向があり、タイヤ交換1回あたり5万〜7万円の出費が頻繁に訪れる覚悟が必要です。
| 項目 | MT-07 (CP2エンジン) | MT-09 (CP3エンジン) |
|---|---|---|
| 使用燃料 | レギュラー | ハイオク |
| 実燃費目安 | 約23〜28km/L | 約17〜21km/L |
| タイヤ消耗 | 穏やか(財布に優しい) | 激しい(パワーによる摩耗) |
| 車重(装備) | 184kg | 189kg〜193kg |

最高速と加速性能における圧倒的な差
動力性能に関しては、比較にならないほどの差があります。これが「楽しさ」になるか「恐怖」になるかが、後悔の分かれ道です。
MT-07:公道で「使い切れる」快感
MT-07の2気筒エンジン(73馬力前後)は、低中速トルクが厚く、街中のストップ&ゴーや峠道の立ち上がりが非常に軽快です。アクセルを全開にしても「制御できる範囲内」で加速するため、ライダーはバイクを支配下に置いているという全能感を感じることができます。「日本の狭い公道や峠道で一番速いのはMT-07だ」というベテランライダーが多いのも頷けます。
MT-09:理性を試される「ワープ装置」
対してMT-09の3気筒エンジン(120馬力前後)は、アクセルをひと捻りするだけで景色が歪むような加速を見せます。その加速力は、まさに「ワープ」と呼ぶに相応しいものです。高速道路での追い越しは一瞬で完了しますが、気がつけば免許取り消し速度域にまで到達してしまうため、常に自制心が求められます。
「高速道路を余裕で流したい」「圧倒的なパワーを所有している優越感に浸りたい」という方にはMT-09一択ですが、「恐怖を感じずに気持ちよく走りたい」という方には、MT-09のパワーはむしろストレスになる可能性があります。
注意:免許を守る覚悟
MT-09に乗るということは、常に右手の欲望と戦うということです。「ついつい開けてしまう」タイプの人は、免許証の点数がいくつあっても足りないかもしれません。
二人乗り性能はどちらも期待できない
「たまには彼女や奥さんを後ろに乗せて、おしゃれなカフェまでツーリング」というシチュエーションを夢見ているなら、残念ながらMT-09もMT-07も最適な選択肢とは言えません。
ストリートファイター共通の悩み
MTシリーズは基本的に「ストリートファイター」というジャンルであり、デザインの優先順位において「リア周りの軽快感」が非常に高く設定されています。その結果、リアシートは「おまけ」程度のサイズしかなく、クッションも薄くて硬いものです。
タンデムステップの位置も高めで、パッセンジャー(同乗者)は膝を深く曲げた窮屈な姿勢を強いられます。グラブバー(持ち手)も標準では装備されていないことが多く(ベルトのみ等)、同乗者はライダーに必死にしがみつく必要があります。
MT-09だからといって快適なわけではない
「車格が大きいMT-09の方が少しはマシだろう」と思うかもしれませんが、加速が激しい分、同乗者の恐怖感はMT-09の方が上かもしれません。加速するたびに後ろに振り落とされそうになり、減速するたびに前にのめり込む。これではデートどころではありません。
もし二人乗りを重視するなら、同じエンジンを積みながら快適性を高めた兄弟車である「Tracer 9 GT」や「Tracer 7」などを検討することを強くおすすめします。
Z900などライバル車との比較で悩む
MT-09を検討する際、最大のライバルとして立ちはだかるのが、カワサキの「Z900」や「Z900RS」です。同じ価格帯、近い排気量のネイキッドですが、その性格は水と油ほど異なります。
「4気筒の癒やし」か「3気筒の刺激」か
Z900は直列4気筒エンジンを搭載しており、シルキーで滑らかな吹け上がりと、どっしりとした安定感が特徴です。長距離を走っても疲れにくく、エンジン音も「フォンフォーン」という整った音色を奏でます。
一方、MT-09の3気筒エンジンは「ガルルル!」という猛獣のような咆哮とともに、荒々しいトルクを発生させます。振動も4気筒に比べれば大きく、常にライダーに「もっと攻めろ」と急かしてくるような感覚があります。
後悔のパターンを分析する
「Z900にしておけばよかった」と後悔するパターンの多くは、MT-09の刺激的な挙動やスパルタンな乗り味に疲れてしまったケースです。逆に、「Z900は優等生すぎて退屈だ」と感じてMT-09に乗り換える人もいます。
自分がバイクに求めているのは、週末のツーリングでの「癒やしと安定」なのか、それとも日常を忘れるほどの「刺激と興奮」なのか。この軸を明確にすることが、ライバル車選びで失敗しないための唯一の方法です。
年式やグレード選びでの失敗を防ぐために
MT-09は2014年の初代登場以来、2017年(Gen2)、2021年(Gen3)、2024年(Gen4)と、短期間で劇的な進化を遂げています。見た目だけでなく、中身も別物と言えるほど変わっているため、「予算に合わせて適当な年式の中古車を買う」という選び方は非常に危険です。
初期型のサスペンション性能への不満
中古車市場で手頃な価格(50万円台〜)で流通している初期型(Gen1:2014〜2016年式)ですが、安易に飛びつくと後悔する筆頭候補です。このモデル最大のアキレス腱は、コストダウンの影響を色濃く受けた「足回り」にあります。
「ポゴスティック」と揶揄される挙動
初期型の前後サスペンションは、減衰力が不足しており、スプリングの動きを抑えきれていません。アクセルを開ければリアが大きく沈み込み、ブレーキをかければフロントが深くダイブする。コーナーリング中も車体がフワフワと揺れ続け、落ち着きがありません。海外のレビューでは「ポゴスティック(ホッピング)」と揶揄されたほどです。

街乗り程度なら問題ありませんが、ワインディングを気持ちよく走ろうとすると、この足回りが恐怖感に繋がります。
結局高くつくカスタム費用
多くのオーナーがこの挙動に耐えきれず、サスペンションをオーリンズやナイトロン、KYBなどの社外品に交換します。しかし、前後サスペンションを交換すると、部品代と工賃で20万円〜30万円コースです。
「安く買ったつもりが、足回りを直したら高年式モデルが買える金額になってしまった」という悲劇を避けるためにも、初期型を選ぶ際は、既にサスペンションが交換されているカスタム済み車両を探すか、この特性を許容できるか試乗で確認することが重要です。
SPモデルとスタンダードの違いと選び方
2018年モデル以降(Gen2後期〜)から設定された上級グレード「SP」。スタンダードモデルとの新車価格差は10数万円程度ですが、その中身の差は価格以上です。迷ったら「SP」を選んでおくのが、後悔しないための鉄則です。
街乗り派こそ恩恵を受ける「上質な足」
SPモデルの最大の特徴は、フロントにKYB製のスペシャルフォーク、リアにオーリンズ製のフルアジャスタブルショックを標準装備している点です。
「サーキットなんて行かないから、そんな高級なサスはいらない」と思うかもしれません。しかし、実は街乗り派こそ、この恩恵を強く受けます。上質なサスペンションは動き出しが非常にスムーズで、マンホールや道路の継ぎ目などの衝撃を綺麗にいなしてくれます。結果として、乗り心地が良く、長距離を走っても疲れにくいのです。
リセールバリューの差
手放す際の下取り価格や買取価格も、SPモデルの方が圧倒的に高値が付きます。購入時の差額の多くは売却時に回収できるため、トータルコストで見ればSPの方がお得になるケースも少なくありません。
新型はスマートキーの使い勝手が悪い
最新の2024年モデル(Gen4)のSPなどで採用されたスマートキーシステム。一見すると先進的で便利そうですが、実際のオーナーからは「改悪だ」という厳しい声が上がっています。
「中途半端なスマート化」の弊害
メインスイッチのON/OFFやハンドルロック、燃料タンクの解錠はスマートキーを持っていればノブ操作だけで行えます。しかし、問題は「シートの開閉(ヘルメットホルダー使用時など)」です。
シートを開けるには、スマートキー本体に収納されている物理キー(メカニカルキー)を取り出す必要があります。この物理キーを取り出す操作が非常に細かく、小さなノブをスライドさせながら引き抜くという、冬場のかじかんだ手やグローブをした手では困難な作業を強いられます。
キー紛失のリスク構造
さらに厄介なのが、キーリングを取り付けるフック穴が、スマートキー本体ではなく「物理キー側」についている場合がある点です。物理キーを車体に挿している間、スマートキー本体はキーホルダーから外れた状態になり、ポケットから滑り落ちたり紛失したりするリスクが高まります。
「全部スマホで完結させてくれればいいのに」と思わずにはいられないこの仕様は、日常の使い勝手において地味ながら確実なストレスとなります。
故障リスクや寿命に関するユーザーの声
「MT-09は壊れやすいのか?」という疑問に対しては、「エンジンや車体は頑丈だが、センサー類には注意が必要」というのが答えです。
信頼のヤマハ品質、しかし…
エンジン自体は非常に堅牢で、適切なオイル交換を行っていれば走行距離10万キロを超えても元気に走り続ける個体が多数存在します。しかし、近年のモデルは電子制御の塊です。
特にクイックシフター(QSS)のスイッチや、6軸IMU(慣性計測装置)などの精密センサー類は、転倒時の衝撃や、高圧洗車による水の侵入などでトラブルを起こす事例が報告されています。
また、軽量化を徹底した設計ゆえに、プラスチックパーツの爪が折れやすかったり、ゴム部品の劣化が早かったりと、質感の部分でコストダウンを感じる箇所もあります。とはいえ、輸入車と比較すれば故障頻度は圧倒的に低く、部品供給も早くて安いため、維持において「修理費で破産する」ようなリスクは極めて低いと言えるでしょう。
MT-09購入に関するよくある質問(Q&A)
ここでは、実際にMT-09の購入を検討している方からよく寄せられる質問に対し、オーナー視点での本音を回答します。後悔しないための最終チェックとしてご活用ください。
Q. 大型免許を取ったばかりの初心者ですが、MT-09はいきなり乗っても大丈夫ですか?
A. 自制心を持って「Bモード」を使えば大丈夫です。
MT-09は車重が190kg程度と400cc並みに軽く、取り回しは大型バイクの中でもトップクラスに楽です。また、「Bモード(出力抑制モード)」に設定すれば、スロットルレスポンスが非常に穏やかになり、初心者でも恐怖感なく運転できます。
ただし、最も過激な「Aモード」はベテランでも緊張するレベルです。慣れるまでは決してAモードを使わないという強い意志があれば、最初の一台としても十分に楽しめます。
Q. 高速道路での「風圧」はどれくらいキツイですか?
A. 正直、100km/hを超えるとかなり過酷です。
完全なネイキッドスタイルのため、上半身全体で風を受け止めることになります。新東名高速道路などの120km/h区間を巡航する場合、風圧による疲労は相当なものです。「スクリーン」を追加することである程度は緩和されますが、ツアラーのような快適性は望めません。高速道路を多用するロングツーリングがメインなら、カウル付きの「Tracer」シリーズを検討することをおすすめします。
Q. 実際、どれくらい「ドンツキ(スロットルの過敏さ)」は気になりますか?
A. 初期型(2014-2016)はかなり気になりますが、現行型は改善されています。
特に初期型のAモードは、アクセルを1mm動かしただけで車体が飛び出すような挙動があり、渋滞路やUターンではストレスを感じることがあります。ECUの書き換えで改善する人も多いです。2017年以降のモデル、特に2021年以降のモデルでは電子制御が進化しており、過敏さはかなり影を潜めていますので、そこまで心配する必要はありません。
MT-09で後悔しないための最終結論
ここまで厳しいことも言いましたが、結論はシンプルです。MT-09の「後悔」という言葉の正体は、単なる性能不足ではなく、「快適な旅バイクだと思って買った人の悲鳴」に過ぎません。
もしあなたが、日々の維持費や燃費の良さ、そして何よりも足つきなどの不安がない快適さを最優先するなら、悪いことは言いません。扱いやすくてコスパの良いMT-07を選ぶ方が、きっと幸せなバイクライフを送れるはずです。

しかし、理性を吹き飛ばすほどの加速と、ヒリヒリするような「操る悦び」を求めているのなら、多少の不便さは愛すべき欠点に変わります。航続距離の短さも、シートの硬さも、すべてはあの3気筒エンジンの咆哮を聞くためのスパイスです。中古車なら初期型のサスペンションに注意し、新車ならSPモデルやスマートキーの特性を理解した上で選べば、もう迷うことはありません。
記事の要点まとめ:
- MT-09の最大の欠点は、楽しさとトレードオフの「燃費の悪さ」と「航続距離の短さ(実質200km以下)」
- 「足つきの悪さ」や「シートの硬さ」は、長距離ツーリングでの疲労に直結するため、購入前に覚悟と対策が必要
- MT-07とは全く別の乗り物。コスパと扱いやすさなら07、刺激と所有欲を満たす質感を求めるなら09を選ぶべき
- 初期型の中古車はサスペンション性能に難あり。予算が許すならリセールバリューも高い「SPモデル」が強く推奨される
- 最新モデルでもスマートキーの使い勝手など、細かな不満点は存在するため、スペックだけでなく実車確認が重要
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。スペック表やネットの評判だけで悩み続けていても、本当の相性は分かりません。まずは最寄りのYSP(ヤマハスポーツプラザ)やレンタルバイク店で、実際にMT-09のシートに跨り、そのエンジンを始動させてみてください。
その瞬間に感じるエンジンの「鼓動」と、右手に伝わる「重み」こそが、あなたにとっての正解を教えてくれるはずです。さあ、次はあなたがそのスロットルを握る番です!