こんにちは。「motofrontier」の「マコト」です。
今、NC750Xの購入を検討していて、オーナーが感じる「不満」について調べているんですね。NC750Xは「750ccの大型バイクなのにパワー不足なんじゃないか?」「車体が重いし、足つきも悪いんじゃないか?」といった具体的な不安が尽きないバイクだと思います。
ネットで調べると、一部で言われる不人気な理由や、デザインがダサいという辛口な評価も目に入りますよね。特に、NC750Xの代名詞でもあるDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の評価は賛否両論で、「自分に合うんだろうか…」「買ってから後悔しないか」と心配になるお気持ち、すごくよく分かります。
この記事では、そうしたNC750Xに対してオーナーから寄せられるリアルな「不満点」を、一切隠さずに正直にリストアップします。その上で、なぜそうした不満が出るのか、その設計思想まで掘り下げて、あなたにとってNC750Xが「買い」なのか「やめておくべき」なのか、ミスマッチのないバイク選びができるよう全力でサポートしますね。
あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?
- ✅大型なのにパワー不足で「つまらない」バイクだと聞いた
- ✅車体が重くて、足つきも悪そうで立ちゴケしないか不安
- ✅デザインが地味で「教習車っぽい」のが気になる
- ✅買ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔したくない
もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。
NC750Xの不満、核心はエンジンか

NC750Xの購入をためらう、あるいはオーナーが口にする不満点を調べると、その議論は必ずと言っていいほど「エンジン」に関する指摘に行き着きます。
「750cc」という排気量から誰もが期待するであろうスポーティな走り。それと現実とのギャップはどこにあるのでしょうか。ここでは、走行性能に関する核心的な不満点を深く掘り下げていきます。
NC750Xはパワー不足で遅い?

これは、NC750Xに関する不満として最も多く、そして最も深刻に聞かれる声です。そして、結論から言えば「事実」です。
NC750Xのエンジンは、水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒、745cc。これだけのスペックを聞けばパワフルな走りを想像しますが、最高出力はわずか58馬力(PS)に抑えられています。
この数値は、同クラスのライバル車、例えばヤマハのMT-07(約73馬力)などと比較すると、数値上かなり見劣りします。
しかし、問題は馬力の数値そのものよりも、その「特性」にあります。
高回転まで回らない、回せないエンジン
このエンジンの最大の特徴は、驚くほど高回転まで回らないことです。バイクの楽しみの一つである「エンジンをレッドゾーン近くまで回してパワーを絞り出す」という感覚は、NC750Xには皆無と言っていいかもしれません。
感覚的には4,000〜5,000回転あたりで早々にパワーの頭打ちを感じ始め、そこから少し回すとすぐにレブリミッターが「ガガガッ」と作動します。4気筒エンジンのように「まだまだ回る!」という高揚感や伸びは期待できません。
リッターバイクのような鋭い加速や「もう一声欲しい」というパンチ力を期待すると、「走りが大人しい」「加速がもの足りない」と感じるのは当然の結果でしょう。
最高速についても、おおむね170〜180km/h前後と大型バイクとしては控えめです。もちろん日本の公道では十分すぎる速度ですが、高速道路での追い越し加速などでは、その穏やかな加速感に物足りなさを感じる人も多いようです。
NC750Xの実際の最高速や高速道路での追い越し性能、MT-07などライバル車との比較については、NC750Xを選ぶ理由とは?最高速性能とライバル比較で分かる魅力に詳しくまとめています。
注意点:刺激を求めるなら選んではいけない
NC750Xに「750ccらしい刺激」や「高回転域での甲高いエキゾーストノート」「鋭い加速」を期待すると、ほぼ確実に期待外れに感じます。これはバイクの欠陥や故障ではなく、後述する明確な目的のために、ホンダが「あえて」そう設計しているからです。
NC750XのDCT、評価の分かれ目

NC750Xの大きな特徴であり、MT(マニュアルトランスミッション)車と人気を二分するのがDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)モデルです。左手のクラッチ操作と左足のシフト操作から解放され、バイクが自動で変速してくれるこのシステムは、特に渋滞の多い街乗りや長距離ツーリングでの疲労軽減に絶大な効果を発揮します。
しかし、このDCTも「最高だ」という人と「二度と乗らない」という人で、評価が真っ二つに分かれるポイントです。
感覚的な不満:「操る楽しさ」の欠如
不満として最も多く挙がるのは、「オートマっぽくてつまらない」という感覚的なものです。自分でクラッチを繋ぎ、エンジン回転数を合わせ、シフトペダルを操作するという、バイク本来の「操る楽しさ」がスポイルされると感じるライダーは少なくありません。「ただ乗せられている感じがする」というわけですね。
DCT特有の「癖」への不満
また、DCTには機械的な特有の癖もあります。
- 極低速時のギクシャク感: 駐車場での取り回しやUターン、渋滞路でのノロノロ運転など、半クラッチを使いたいような極低速域で、カクカクとしたギクシャク感が出やすい特性があります。
- 早すぎるシフトアップ: Dモード(標準の自動変速モード)で走行中、燃費を稼ぐために「ここでシフトアップしてほしくない」という(ライダーの感覚からすると)早すぎるタイミングでポンポンとシフトアップしてしまう特性があります。これが「エンジンの美味しいところを使えない」というストレスに感じる声もあります。
もちろん、マニュアルモードに切り替えれば、手元のパドルシフトで任意のギアを選択してスポーティな走りを演出することも可能です。しかし、前述の通りエンジン自体が高回転型ではないため、MT車のようなダイレクトな操作感と引き換えにできるほどの刺激が得られるかというと、そこには限界があります。
「ATの圧倒的な快適性」を取るか、「MTの操作する楽しさ」を取るかは、その人のバイクに求める価値観次第。こればかりは、購入前に必ずDCTモデルとMTモデルの両方を試乗して、ご自身の感覚で判断すべき最大の分かれ目です。
NC750Xが不人気と言われる理由
「NC750X 不人気 理由」といった検索キーワードを見かけることがありますが、これは誤解を恐れずに言えば「(統計的に)売れていない」という意味ではありません。実際には、大型二輪の教習車として多くの自動車学校で採用されており、ロングセラーモデルとして安定した人気を持つモデルです。
ここでの「不人気」とは、「熱狂的なファンが生まれにくい」「バイクコミュニティの中で話題の中心になりにくい」「乗り手を激しく選ぶバイク」という意味合いが強いかなと思います。
その最大の理由は、やはりこれまでに挙げた「エンジンの物足りなさ」と、後述する「デザインの地味さ」に集約されます。
多くのライダーがバイクに求める「スリル」「刺激」「ステータス」「所有欲」といった要素が、NC750Xは意図的に削ぎ落とされています。そのため、そうした価値観を重視する層からは徹底的に敬遠され、結果として「不人気なバイク」と揶揄されてしまう側面があるんですね。
しかし、これはあくまで一面的な評価です。視点を180度変えれば、実用性と経済性を最重要視する層からは「これ以上のバイクはない」と絶大な支持を集めているのも事実。
不人気どころか、特定のニーズに対しては「これ一択」とさえ言われる、非常にユニークで孤高のポジションを確立しているバイクなんです。
より詳しい「不人気」と言われる背景や、実は隠れたベストセラーである理由については、NC750Xはなぜ「不人気」と言われる?隠れたベストセラーの真実と魅力を徹底解説で詳しく解説しています。
快適性と実用性の「落とし穴」
「エンジンの特性は理解した。自分は燃費と実用性重視だから問題ない」…そう思ったかもしれません。ですが、NC750Xの不満はエンジン特性だけにとどまらないんです。
ツアラーとして、また日常の道具として優秀とされる一方で、「え、こんなところが?」と感じる物理的・機能的な不満点、いわば「落とし穴」も存在します。ここでは、車体や装備に関するリアルな声を見ていきましょう。
NC750Xは重い?押し歩きとUターン

NC750Xの車両重量は、MTモデルで約215kg、DCTモデルで約225kg(※2024年国内モデル)。これはミドルクラスのアドベンチャーバイクとしては、正直「やや重量級」の部類に入ります。
このバイクの美点は、エンジンや燃料タンクを車体の低い位置にマウントした「低重心設計」にあります。そのため、一度走り出してしまえば、その重さを感じさせない抜群の安定感とヒラヒラとした軽快感さえ味わえます。
しかし、問題は「停車時」と「極低速時」です。
駐車場での押し歩きや、狭い路地でのUターン時には、この約220kg前後という物理的な重さがズッシリとのしかかります。さらに、NC750Xはアドベンチャーモデルとしてハンドルの切れ角が「もう少し欲しい」と感じるオーナーもいるモデルです。これがUターンなどの取り回しのシビアさに拍車をかけている、と感じるライダーも少なくありません。
「ツーリング先で景色の良い場所を見つけたけど、Uターンが怖くて入れない…」「自宅の駐輪場に入れるのが億劫だ…」といった不満は、特に小柄な方や、大型バイクの取り回しにまだ慣れていない方からよく聞かれる声です。
【立ちゴケのリスク】
この「重さ」に加えて、次に解説する「足つきの悪さ」が組み合わさると、信号待ちや坂道での停車時にバランスを崩した際、支えきれずに立ちゴケ(停車時の転倒)してしまうリスクが常につきまといます。購入前には、必ずエンジンをかけずに実車にまたがり、押したり引いたり、左右に傾けて支えられるかを試してみることを強くお勧めします。
NC750Xの足つき、シート幅の罠

NC750Xのシート高は、公称値で800mm(※2024年モデル)です。この数値だけ見ると「800mmなら、他のアドベンチャーバイク(820mm〜850mmが多い)と比べても低いし、なんとかなりそう」と感じるかもしれません。
NC750Xは、独自の構造(燃料タンクをシート下に配置)のため、従来からシートの横幅がやや広めな設計でしたが、2021年以降の現行モデルでは前側が絞り込まれたことで「数値のわりに足つきは良い」と感じる声も増えています。
とはいえ、シート幅が広めなのは変わらないため、足をまっすぐ真下に降ろしにくく、太ももの内側がシートに当たって少しガニ股気味になります。その結果、カタログのシート高の数値通りか、場合によってはやや高く感じられることもあります。
私の感覚や多くのオーナーさんのレビューを見ても、身長170cm前後の方で「両足ベッタリ」ではなく「つま先〜母指球がしっかり接地する」くらい。身長165cm前後の方だと、お尻を少しずらして「片足重視で支える」のが前提になるケースも少なくありません。
足つきに不安があると、前述の「重さ」も相まって、信号待ちで路面が傾いていたり、砂利が浮いていたりする場所で「グラついたら支えきれない」という恐怖感に常につながります。これがストレスになる、という不満は非常に多いですね。
対策として、純正オプションのローダウンシート(シート高770mm)への交換や、社外品のローダウンキットの組み込み、厚底のライディングブーツの使用などを検討するオーナーも多いポイントです。
「どうしても足つきが不安で、立ちゴケが怖い…」という場合は、無理をせずローダウンリンクで車高を下げてしまうのが最も確実な解決策です。立ちゴケしてカウルを割ってしまう修理費を考えれば、安心を買うための決して高くない投資だと思います。
長距離でお尻が痛い?シートと風防

NC750Xは、その成り立ちから「ツーリング性能」に定評があるモデルです。アップライトで楽なライディングポジション、DCTの快適性、そして抜群の燃費。しかし、いざ長距離を走ってみると「あれ?」と感じる不満点も指摘されています。
純正シートの硬さ
まず、よく聞かれるのが「純正シートの硬さ」です。クッション性が高いとは言えず、表皮の張りも強めなためか、「2時間も連続で走るとお尻が痛くなる」という声は少なくありません。
日帰りツーリング程度なら我慢できても、1日に何百kmも走るようなロングツーリングがメインの使い方を考えている方は、何かしらの対策が必要になるかもしれません。
対策としては、ゲルクッション(通称ゲルザブ)をシート上に敷いたり、専門業者でシートのウレタンを加工してもらったり、あるいは社外品のコンフォートシートに丸ごと交換したり、といった「尻痛対策」が定番となっています。
もし純正シートの硬さが気になりだしたら、長距離ライダーの間ではもはや『神器』とも呼ばれる「ゲルザブ」を試してみてください。これを一枚敷くだけで、辛いお尻の痛みから解放されて、ツーリングがもっと楽しくなりますよ。
中途半端な風防(ウィンドスクリーン)
標準装備のウィンドスクリーン(風防)も、「中途半端だ」という不満がよく聞かれます。無いよりはマシですが、胸から上、特にヘルメットや肩周りへの風圧を十分に防ぎきれない、という意見が多いですね。
高速道路を長時間巡航すると、この風圧によって首や肩が疲れやすいため、快適なロングツーリングを楽しむオーナーの多くは、社外品のより大型のロングスクリーンに交換しています。これは定番のカスタムと言えるでしょう。
クルーズコントロール非搭載
これは近年のツアラーモデルとしては非常に惜しい点ですが、NC750Xには(※2024年モデル時点)、クルーズコントロール(スロットル操作なしで一定速度を維持する機能)が搭載されていません。
あれだけ快適なDCTと楽なポジションを備えているのに、高速道路での長距離移動で一定速度を維持したい際、手動でスロットルを開け続けなければならないのです。「クルコンさえあれば、もっと楽なのに…」と長距離派のライダーが不満を感じるのも無理はないポイントです。
便利なメットインと面倒な給油口
NC750X最大のアイデンティティとも言える、車体前部の収納スペース(フロントトランク、通称メットイン)と、その代償として犠牲になった給油口の位置。ここにも「便利さ」と「不便さ」が表裏一体となった、賛否両論のポイントがあります。
フロントトランク(メットイン)の期待と現実
容量約23L(※2021年モデル以降)を誇るこの収納スペースは、日常の買い物や、レインウェア、パンク修理キットなどを常備しておくのに圧倒的に便利です。一度この便利さを知ると、他のバイクのシート下収納が物足りなく感じるほどです。
しかし、このメットインも万能ではありません。期待が大きいだけに「思ったより入らない」という声も。
- ヘルメット形状を選ぶ: 「メットイン」という通称ですが、ヘルメットの形状やサイズによっては収納できない場合もあります。特に、シールド付きの大型フルフェイスや、チンガード(顎)部分が出っ張っているオフロードヘルメット、可動式のシステムヘルメットなどは、入らないケースも少なくありません。
- 完全防水ではない: ある程度の防滴性はありますが、完全防水仕様ではありません。長時間の雨天走行や高圧洗車では、内部に水が浸入する可能性も考慮しておく必要があります。濡らしたくないものは防水バッグに入れるなどの対策が賢明です。
タンデムシート下の給油口
フロントトランクという最大の長所を得る代償として、NC750Xの燃料給油口は、なんと後部の「タンデムシート下」に配置されています。これが、NC750Xオーナーが口を揃える「最大の欠点の一つ」としてよく挙げられます。
日常使いでは、給油のたびに鍵でシートを開ける、という一手間が増える程度です。しかし、これがツーリング、特にキャンプツーリングとなると話は別です。
ツーリング時の給油が絶望的に面倒
タンデムシート上にキャンプ道具や大型のシートバッグをネットやベルトでガッチリ固定していると、どうなるでしょうか?
…そう、ガソリンスタンドに着くたびに、せっかく固定した荷物を毎回すべて降ろして、給油し、終わったらまた積み直すという、非常に面倒な作業が発生します。
これがツーリング中に何度も繰り返されると、かなりのストレスに感じるオーナーも多いようです。これは構造上どうしようもない部分であり、購入前にご自身の使い方と照らし合わせて許容できるか判断すべき重要な不満点です。
この「給油のたびに荷物を降ろすストレス」をなくす唯一の解決策が、トップケース(リアボックス)の導入です。リアシートを使わずに荷物を積めるようにすれば、給油口へのアクセスは常にフリーになります。NC750Xでキャンプや長旅をするなら、導入して絶対に損はないアイテムです。
後悔しないための購入ガイド

ここまで、NC750Xの「エンジン性能」から「車体・装備」に至るまで、かなり辛口な「不満点」を詳しく見てきました。これだけ聞くと「なんだか欠点だらけのバイクだな…」と感じてしまったかもしれません。
では、結局NC750Xは「買い」なのでしょうか、それとも「やめておくべき」なのでしょうか。最後に、これらの不満を踏まえて、あなたが後悔しないための判断基準を提案します。
NC750Xのデザインはダサいのか
「NC750X デザイン ダサい」という、非常にストレートな検索キーワードが存在する通り、その外観デザインに関する批判的な意見も確かにあります。
具体的には「見た目が地味」「実用車っぽくて色気がない」「スクーターみたい」といった声です。現行モデルはエッジの効いたシャープなフロントマスクになり洗練されましたが、それでも全体として「アドベンチャーらしい迫力」や「ワイルドさ」「高級感」には欠けると評されがちです。
もちろん、これは完全に個人の好みの問題です。「機能美にあふれている」「近未来的で洗練されている」「シンプルで飽きがこないデザイン」とポジティブに捉えるユーザーも多くいます。ただ、バイクに「見た目の派手さ」や「分かりやすい格好良さ」を重視するライダーには、物足りなく映る可能性は高いでしょう。
教習車イメージと所有欲の問題

このデザインの評価に追い打ちをかけるのが、日本特有の事情とも言える「教習車」としての強烈なイメージです。
ご存知の通り、NC750系は(その扱いやすさと耐久性から)日本の多くの自動車学校で大型二輪教習車両として採用されています。誰もが一度は乗ったことのある、あのバイクですね。
そのため、公道で乗っていてもどうしても「教習車っぽい」というイメージがつきまといます。「ツーリング先で仲間に『教習車だ』とからかわれるのでは」「初心者っぽく見られるのが嫌だ」と気にする声もゼロではありません。
バイクに「格好良さ」や「ステータス」を求め、「所有欲を満たしたい」という気持ちが強い人にとって、この教習車イメージは、購入をためらう無視できない大きな要因になるかもしれません。
NC750X購入で後悔するパターン
ここまで解説してきた不満点をすべて総括すると、NC750Xというバイクを購入して「後悔」する最大の原因は、たった一つの言葉に集約されます。
それは、「期待と現実のミスマッチ」です。
NC750Xは、その排気量や見た目から「大型バイクらしい走り」を期待されやすい宿命にありますが、その実態はまったくの別物です。
もしあなたが、NC750Xに対して以下のような期待を一つでも持っているなら、後悔する可能性がかなり高いです。
- 750ccのパワーと高回転の伸びを期待した人
(→まったく伸びません) - バイクに「スリル」や「鼓動感」といった刺激を求めた人
(→あまりにもスムーズで眠くなるほどです) - デザインの「格好良さ」や「迫力」「所有欲」を最優先した人
(→地味で教習車イメージがつきまといます)
これらに当てはまるなら、NC750Xを選ぶとかなり高い確率で「不満」が出ます。はっきり言って、あなたのバイクライフを豊かにするためにも、他のバイク(例えばMT-07やCB650Rなど)を探すべきです。
ホンダの設計思想とトレードオフ

では、なぜ世界のホンダは「あえて」これほどまでに分かりやすい不満が出るようなバイクを作ったのでしょうか。それは、NC750Xが「刺激」や「ステータス」といった価値観を大胆に切り捨て、その引き換えに「別の絶対的な価値」を追求したバイクだからです。
NC750Xの不満点は、すべてホンダの明確な設計思想(=トレードオフ)の裏返しなんですね。(参照:Honda NC750X 公式サイト)
【NC750Xが追求したもの(=トレードオフの答え)】
ホンダは、NC750Xの設計において以下の点を最優先しました。
- 圧倒的な燃費(経済性):
パワーを抑え、ロングストロークの低回転型エンジンにした最大の理由です。リッター30km/Lを超えることも珍しくない、クラス随一の経済性を実現しました。 - 日本の公道で最も使う低中速トルク:
高回転のパワーを犠牲にする代わりに、日本の公道で最も多用する「発進時」や「街乗り」での扱いやすさ(低中速での分厚いトルク)を徹底的に重視しました。 - 日常の道具としての快適性と実用性:
刺激的な鼓動感や排気音をあえて消すことで、ライダーを疲れさせず、毎日使っても苦にならない「最高の道具」としての快適性を追求しました。(その究極系がDCTとメットインです)
つまり、NC750Xの「不満」は、ホンダの「意図的な設計」そのものなんです。
刺激より実用性を求める人へ
ここまで読んで、どう思いましたか? もし「パワー不足?上等だ」「刺激?いらない」「地味?それがいい」と思えたなら、あなたはNC750Xの素質があります。
NC750Xの「不満」は、購入する人の目的や価値観が180度変われば、そのまま「最高の長所」にひっくり返ります。
【NC750Xが最高の相棒になる人】
以下のような使い方、価値観を持つ人にとって、NC750Xは他のどんなバイクにも代えがたい、最高の相棒になるはずです。
- バイクを「快適・経済的・実用的」な移動手段として使いたい人
- 通勤や通学で(ほぼ)毎日バイクに乗る人
- バイクの維持費、特に「燃費」を最重要視する人
- メットイン(フロントトランク)の利便性が何物にも代えがたいと感じる人
- DCTによる「クラッチ操作のない快適さ」を求めている人
もしあなたが「バイクにスリルや刺激は求めない。とにかく快適で、燃費が良くて、便利な『最高の道具』が欲しい」と心から考えるなら、NC750Xはまさにそのために生まれた理想的な一台と言えます。
NC750Xの不満に関するよくあるQ&A
記事のまとめとして、NC750Xの購入を検討している方から特によく寄せられる質問や不安について、Q&A形式でお答えしていきますね。
Q1. NC750Xは高速道路の合流や追い越しで本当に非力ですか?
A1. 「非力」の基準によりますが、リッターバイクや4気筒モデルのような瞬発的な加速力は期待できません。
排気量750ccとはいえ、最高出力は58PSと控えめで、高回転まで引っ張ってパワーを絞り出すタイプのエンジンではありません。高速道路を時速100kmで巡航する流れに乗る分には全く問題ありませんし、追い越しも普通にこなせます。
ただし、DCTモデルのDモード(自動変速)だと燃費優先ですぐに高いギアに入ってしまうため、追い越し加速が鈍く感じることがあります。そういう時は、スロットルをガバっと開けてキックダウンさせるか、マニュアルモードでシフトダウンして回転数を上げてあげる操作が必要になります。
「パワーに余裕がある」とまでは言えないので、俊敏な追い越し加速を期待すると不満が出るかもしれません。
Q2. 燃費が良いのは分かりましたが、燃料タンクが14Lしかないのは長距離ツーリングで不安になりませんか?
A2. ご指摘の通り、NC750Xの燃料タンク容量は約14Lと、ツアラーとしては少し小さめです。
例えば、ライバルのスズキ Vストローム650は20Lタンクを搭載していますから、それと比べると見劣りしますよね。NC750Xはカタログ上、WMTCモードでおおよそリッター28kmとされており、条件が良ければリッター30kmを超えることも珍しくありません。その場合、計算上の航続距離は400km弱となります。
「400km走れれば十分」とも言えますが、高速道路メインだと燃費が落ちたり、山間部でガソリンスタンドが少なかったりすると、精神的な不安を感じる場面はあるかもしれません。「思ったより給油間隔が短い」と感じるオーナーさんもいるようです。
ただ、実際には300km〜400km走る前にライダーの方が休憩したくなるケースが多いので、「休憩のついでに給油する」と割り切ってしまえば、運用上そこまで大きな欠点にはならないかな、と私は思います。
注意点
タンク容量そのものよりも、この記事で解説した「タンデムシート下の給油口」のせいで、荷物満載時の給油作業が非常に面倒であることの方が、長距離ツーリング派にとっては大きな不満点になりやすいです。
Q3. 「デザインがダサい」「教習車っぽい」と言われるのが気になります。所有欲は満たせませんか?
A3. これは非常に難しい問題ですが…正直に言って、「見た目の格好良さ」や「ステータス性」で所有欲を満たすタイプのバイクではないことは確かです。
もしあなたが、他人に「すごいバイク乗ってるね!」と言われたい、あるいはガレージでバイクを眺めてお酒を飲みたい、といったタイプの「所有欲」を最優先するなら、NC750Xは候補から外した方が良いかもしれません。
しかし、NC750Xのオーナーさんの多くは、別の部分で所有欲を満たしています。
- 「このメットインの便利さは、他のバイクじゃ絶対に替えがきかない」
- 「リッター30km走るこの経済性こそが、俺の相棒だ」
- 「DCTが快適すぎて、もうMTには戻れない」
「道具としての究極の機能美」や「自分だけの使い方に完璧にマッチしている」という点に強い満足感と愛着を感じ、結果として「所有欲が満たされている」オーナーさんは非常に多いですよ。価値観がハマれば、これほど頼りになる相棒はいません。
Q4. 結局、MTモデルとDCTモデルはどちらがおすすめですか?
A4. 究極の問いですね(笑) これもあなたの価値観次第ですが、私個人の意見としては、もしNC750Xを選ぶならDCTモデルがおすすめです。
なぜなら、NC750Xの「低回転型エンジン」「燃費の良さ」「快適性」という設計思想と、DCT(自動変速の快適性)の相性が抜群に良いからです。このバイクの魅力を最大限に引き出してくれるのはDCTかなと思います。
逆に、少しでも「バイクを操る楽しさ」や「MTのダイレクト感」を残したい、あるいはDCTの機械的な癖(低速時のギクシャク感など)がどうしても許容できない、という方ならMTモデルを選ぶべきです。
こればかりは、本当に好みが分かれます。購入後に「あっちにしておけば良かった…」と後悔しないためにも、必ず両方のモデルを試乗して、ご自身に合うかを確かめてくださいね。
NC750Xの不満とどう向き合うか
最後に、NC750Xの購入で絶対に後悔しないために、この記事の最も重要なポイントをまとめます。
- NC750Xの不満は「エンジン特性」と「期待のズレ」に集約される
- 「パワー」「刺激」「格好良さ」を求めると後悔する可能性が高い
- 「重さ」「足つき」「給油」など物理的な不便さも確実に存在する
- 「燃費」「実用性」「快適性」を最優先するなら最高の道具になる
この記事で挙げた『不満』をすべて読んだ上で、もう一度あなたのバイクライフを想像してみてください。その不満は、あなたにとって本当に「致命的」な欠点でしょうか?
もし「パワーより燃費だ」「刺激より毎日の快適さが大事だ」「給油の面倒さよりメットインの便利さが勝る」と心から思えるなら、NC750Xはあなたの期待に完璧に応えてくれるはずです。
ぜひ一度、先入観を捨てて試乗して、ホンダが込めた『設計の意図』をご自身で体感してみてくださいね。