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テネレ700は本当につまらないのか?「退屈」と評されるエンジンが過酷な旅で最強の武器になる理由

砂漠に佇むヤマハ・テネレ700。「退屈か、それとも冒険の相棒か?」というキャッチコピーが書かれた、記事のアイキャッチ画像。

こんにちは。「motofrontier」の「マコト」です。

次のバイク選びで、カタログやレビュー動画を見ながら迷いに迷って、夜も眠れない時期って一番楽しいですよね。特にアドベンチャーバイクというジャンルは、夢と現実のバランスをどう取るかが非常に悩ましいカテゴリーだと思います。

そんな中、砂漠のラリーマシンをそのまま市販化したような佇まいで独自の存在感を放つヤマハのテネレ700。

「これだ!」と直感的に惹かれつつも、ネット上の口コミや掲示板を覗いてみると、「テネレ700はつまらない」という噂や、「優等生すぎてすぐに飽きる」といった辛口な意見を目にして、急に不安になっている方もいるのではないでしょうか。

試乗レビュー動画などでも「パワー不足で刺激がない」「高速道路がしんどい」といった評価が散見されるため、高い買い物をして本当に後悔しないか、迷いの森に入り込んでしまいますよね。

今回は、そんなテネレ700がなぜ市場で「退屈」と評されることがあるのか、そしてその裏に隠された、カタログスペックには現れない「本当の価値」について、いちオーナーとしての視点も交えながら徹底的に深掘りしていきます。

あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?

  • ✅ 「テネレ700はつまらない」という評判を見て、購入を躊躇している
  • ✅ 大型バイクからの乗り換えを検討中だが、パワー不足で後悔しないか心配だ
  • ✅ 試乗してみたが、エンジンの吹け上がりがフラットすぎて拍子抜けしてしまった
  • ✅ KTMやドゥカティのような「脳汁が出る加速」がないとすぐに飽きる気がする

もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。

テネレ700のイラスト。「パワー不足で刺激がない?」「優等生すぎて飽きる?」といったネット上のネガティブな噂と、購入を迷うユーザーの心理を描いた図解。

テネレ700がつまらないと言われる理由

テネレ700が一部のライダーから「退屈」というレッテルを貼られることがありますが、その評価は一体どこから来るのでしょうか。火のない所に煙は立たないと言いますが、ここではエンジンスペックや出力特性、そしてライバル車との比較から、その理由を論理的に紐解いていきます。

テネレ700はパワー不足で遅いのか

まず、最も多くのライダーが購入前に懸念し、実際にネガティブな意見として挙げられるのが「パワー不足」という点でしょう。テネレ700に搭載されているCP2エンジン(689cc並列2気筒)の最高出力は、カタログ値で約73PS(馬力)です。この数字だけを見ると、どう感じるでしょうか?

もしあなたが、BMW R1250GSやKTM 1290 Super Adventureといったリッターオーバーのアドベンチャーバイク、あるいは100馬力を超えるハイパフォーマンスなロードバイクに乗り慣れている場合、この「73PS」という数字は明らかに物足りなく映るはずです。

実際、高速道路での追い越し加速や、長い登坂車線でアクセルをワイドオープンにした時、体がシートに押し付けられ、視界が狭まるような強烈なG(重力加速度)を感じることはまずありません。

オンロードツーリングで、リッターSS(スーパースポーツ)やメガツアラーに乗る仲間と一緒に走る場面を想像してみてください。彼らが涼しい顔をして一瞬で加速していく横で、テネレ700はギアを一つ落とし、エンジンを唸らせて必死についていくことになるかもしれません。

「遅いか?」と聞かれれば、絶対的な速さの基準において、現代のハイパワーマシンと比較すれば「遅い」と認めざるを得ない側面はあります。

しかし、ここで視点を変えてみましょう。この「平凡なパワー」こそが、テネレ700の真骨頂であり、最強の武器なのです。

場面をアスファルトから、砂利の浮いた林道や、雨で濡れた泥混じりの峠道に移してください。そんな不確定要素の多い路面状況で、150馬力のモンスターマシンを操ることを想像できますか?

ほんの数ミリ、ラフにアクセルを開けただけでリアタイヤが空転し、制御不能になる恐怖。トラクションコントロールのランプが点滅し続け、ライダーは「マシンに生かされている」状態になります。そこにあるのは楽しみよりも、転倒への「恐怖」と、マシンを抑え込む「疲労」です。

73馬力は遅いのではなく使い切れる全能感である一方、150馬力のハイパワーはラフな操作が制御不能につながる恐怖であることを対比させた解説図。

一方で、テネレ700の73馬力は、ライダーが恐怖を感じずに使い切れる絶妙なパワーです。アクセルを大きく開けても、車体が唐突に暴れ出すことがないため、積極的にリアタイヤをスライドさせたり、トラクションを探ったりという操作が可能になります。

「パワーに振り回される」のではなく、「パワーを支配下に置く」感覚。これは「遅い」のではなく、「手の内で扱える全能感」と言い換えるべきでしょう。スペックシートの数値競争から降りた場所にある、実戦的な速さと楽しさ。これこそが、テネレ700の実力なのです。

マコト
マコト
最近のアドベンチャーバイクは150馬力越えも珍しくないですが、正直なところ日本の公道や林道でそれを使い切るのは至難の業ですよね。「73馬力」と聞くと少なく感じるかもしれませんが、アクセルを全開にできる楽しさは、スペック上の数値とはまた別格の魅力があると思います。

優等生すぎて飽きると感じる要因

次に、「飽きる」という評価について考えてみましょう。ヤマハのCP2エンジンは、ジャーナリストやベテランライダーからしばしば「優等生すぎる」と評されます。これは褒め言葉であると同時に、「特徴がない」という批判の裏返しでもあります。

このエンジンは、低回転域から高回転域まで、トルクの谷も山もなく、定規で引いたように極めてフラットに吹け上がる特性を持っています。昔の2ストロークエンジンのような、ある回転数から急激にパワーが盛り上がる「パワーバンド」や、カムに乗った瞬間のドラマチックな変化が希薄なのです。

そのため、加速感にメリハリや演出を求めるライダーにとっては、試乗した瞬間に「あれ? もう終わり?」「なんか普通のバイクだったな…」と拍子抜けする原因になります。

「刺激がないから飽きる」という意見もよく耳にしますね。でも、それはスルメをひと噛みして「味がしない」と言っているようなものかもしれません。

実は、この「退屈なフラットトルク」には、ヤマハの高度なエンジニアリング思想「クロスプレーン・コンセプト」が込められています。270度位相クランクによる不等間隔爆発は、燃焼トルク(爆発による力)と慣性トルク(ピストン運動によるノイズ)を分離し、ライダーがスロットルを開けた分だけ、正確に路面を蹴る力を生み出します。

このエンジンの真の面白さは、スロットル操作に対する忠実さにあります。砂利道やぬかるみで、右手をミリ単位でじわりと開けた時、リアタイヤが路面を掴む感覚がダイレクトに掌に伝わってくるのです。

この「対話能力」の高さは、派手な加速感よりも遥かに奥深い世界です。最初は地味で退屈に感じるかもしれませんが、バイクとのシンクロ率が高まるにつれて、これほど意のままに操れるエンジンはないことに気づくでしょう。

飽きるのは、バイクと対話せず、ただスロットルをガバ開けしているだけだからかもしれません。噛めば噛むほど味が出る、まさに玄人好みのエンジンなのです。

オフロード走行中のタイヤとスロットル操作のイメージ。定規で引いたようなフラットトルクが、スロットルと路面を直結させ、ライダーとの対話を生むことを解説した画像。

なお、「優等生=つまらない」という構図はテネレ700に限った話ではなく、同ジャンルの人気車でも起こりがちです。似たテーマは、こちらの記事でも掘り下げています。
【CRF1100L徹底解説】アフリカツインは本当に「つまらない」のか?

KTMと比較して刺激が足りない点

テネレ700を購入検討する際、避けて通れない最強のライバルが「KTM 890 Adventure R」です。オーストリアのKTMは「Ready to Race」をスローガンに掲げており、そのバイク作りは刺激に満ち溢れています。テネレ700とKTM 890 Adventure Rを比較すると、キャラクターの違いが浮き彫りになります。

ヤマハ・テネレ700とKTM 890 Adventure Rの比較表。信頼できる相棒か週末のヒーローか、それぞれの開発思想と楽しさの質の違いをまとめた比較図。
比較項目Yamaha Ténéré 700KTM 890 Adventure R
エンジン特性リニア・マイルド(トラクション重視)爆発的・高揚感(レスポンス鋭い)
最高出力約73hp約105hp
電子制御シンプル寄り(年式によりTFT/3モードABSなど)満載(6Dセンサー/IMU系、トラコン、コーナリングABS等)
サスペンションKYB製(調整幅は限定的・ソフト)WP製 XPLOR(フルアジャスタブル・ハード)
楽しさの質「操る喜び」「旅の完遂」「戦闘力」「アドレナリン」
マコト
マコト
これ、本当によく比較される2台ですよね(笑)。私もいろいろなライダーの話を聞きますが、「週末の刺激」ならKTM、「毎日の安心」ならヤマハ、という住み分けが一番しっくりきます。KTMの「READY TO RACE」な思想も最高にかっこいいですが、維持のしやすさでヤマハを選ぶのも賢い選択ですよ。

スペックや電子制御の充実度で見れば、KTMの方が圧倒的に「遊べる」バイクに見えるでしょう。100馬力を超えるパワーと、スロットルを開けた瞬間のドンツキすら感じるほどの鋭いレスポンスは、確かに脳内麻薬が出るような楽しさがあります。

サスペンションも最初からレーススペックに近いものが装備されており、箱出し状態でエンデューロレースに出られるほどのポテンシャルを持っています。これに乗った後でテネレに乗れば、「眠たいバイクだ」と感じるのも無理はありません。

しかし、その「刺激のなさ」は、長期間・長距離の旅においては「疲れにくさ」という強力なメリットに変わります。KTMの過激なレスポンスは、数時間のライディングでは楽しいものの、数週間に及ぶツーリングではライダーの神経をすり減らす要因にもなり得ます。

また、外車全般に言えることですが、旅先でのトラブル対応や部品供給のタイミングは、エリアによって差が出ることがあります。そういう意味で、テネレ700のシンプルさは大きな武器です。

KTMが「週末のヒーロー」になるためのマシンだとしたら、テネレ700は「一生の冒険を共にする相棒」。刺激を求めて短距離を駆け抜けるか、信頼を求めて地平線の彼方まで走るか。あなたがバイクに何を求めるかによって、「つまらない」という評価は「頼もしい」という評価に180度反転するのです。

もし「オンロードの快適性・万能感」も同じくらい重視したいなら、同クラスの別候補も並べて比較しておくと後悔が減ります。例えばトランザルプの中古相場やチェックポイントは、こちらにまとめています。
【中古相場とチェックリスト】XL750 トランザルプを賢く手に入れる全知識

購入して後悔する人の共通点とは

アスファルトが終わった場所で真価が問われるというメッセージ。足つきの悪さやシートの硬さは、本物の冒険のために設計された証であることを説明したスライド。

「つまらない」というエンジン特性への評価以外にも、実際に購入したオーナーたちが「こんなはずじゃなかった」と後悔したり、不満を漏らしたりするポイントがいくつか明確に存在します。これらはマシンの性能というよりは、物理的な相性や快適性、そして現代のバイクに求められる利便性に関する問題です。

後悔ポイントを「購入前チェックリスト」的にもっと具体例ベースで確認したい方は、こちらも参考にしてください。
テネレ700購入後に後悔する前に!足つきの絶望・装備の不満…

足つきの悪さが招く不安と不満

テネレ700を検討する上で最大のハードルとなるのが、そのシート高です。標準で875mmという数値は、国産アドベンチャーバイクの中でもかなり高い部類に入ります。さらに問題なのは、重心位置の高さ(トップヘビー)です。テネレ700は燃料タンクが伝統的なエンジン上部に配置されているため、満タン時には車体の上の方に約12kg以上の重量物が加算されます。

この「高重心」は、走り出してしまえばヒラヒラと軽快に倒し込めるメリットになるのですが、極低速域や停止時にはライダーに牙を剥きます。

特に小柄なライダーやオフロード初心者の場合、信号待ちのたびにつま先立ちでプルプルと耐えたり、林道のわだちで足がつかずに立ちゴケする恐怖と常に戦うことになります。「グラッ」ときた瞬間にリカバリーしようとしても、高い位置にある重さを支えきれずにそのまま倒してしまうケースが後を絶ちません。

「乗るのが億劫になる」という心理的なハードルが生まれてしまうと、バイク本来の楽しさを味わう前に、「ガレージの肥やし」になるか、手放してしまうことになりかねません。

ローダウンリンク(車高を下げるパーツ)や厚底ブーツの導入で対策は可能ですが、サスペンションの性能バランスが崩れることもあるため、試乗に際しては「自分が扱いきれるサイズ感か」を冷静に判断する必要があります。

シートが硬くてお尻が痛い問題

純正シートに関する不満も、オーナーフォーラムなどで非常に多く聞かれるトピックです。テネレ700の純正シートは、オフロード走行時のスタンディングや前後へのボディアクションを妨げないよう、細身でフラットな形状に設計されています。しかし、その代償としてクッション性が低く、長時間の着座には全く適していません。

多くのライダーが「100マイル(約160km)程度でお尻が悲鳴を上げる」「まるで木の板に座っているようだ」と報告しています。ツーリングの後半、お尻の痛みが気になり出すと、美しい景色も楽しめなくなり、「早くバイクから降りたい」というネガティブな感情が頭を支配するようになります。

注意ポイント

お尻の痛みは、ツーリングの楽しさを大きく損なう要因です。「我慢すればいい」と考えがちですが、痛みは集中力を奪い、事故のリスクを高める要因にもなります。

この問題に対しては、多くのオーナーが解決策を講じています。

ヤマハ純正のオプションである「ラリーシート」への換装(ただし足つきはさらに悪化します)、アメリカの「Seat Concepts(シート・コンセプト)」などの快適性を重視した社外シートへの交換、あるいは「ゲルザブ」のようなクッションの追加が定番です。

車両価格にプラスして、こうした快適装備への投資が必要になる可能性があることは、購入前に計算に入れておいた方が良いでしょう。

高速道路での振動と風圧の実際

アドベンチャーバイクといえば「大陸横断」のような長距離ツーリングをイメージしますが、テネレ700で高速道路を淡々と巡航するのは、意外と修行の側面があります。

まず問題になるのがウインドプロテクションです。純正のスクリーンはスリムでスタイリッシュですが、ライダーの身長やヘルメットの形状によっては、風がちょうどヘルメットのシールド付近で渦を巻き、激しい乱気流(バフェッティング)を引き起こすことがあります。

頭が常にガクガクと揺さぶられ続けるのは、首への負担だけでなく、視界のブレを招き、深刻な疲労原因となります。

また、CP2エンジンはバランサーで振動が抑えられているとはいえ、並列2気筒エンジンの特性上、時速100km〜120km付近(約5,000〜6,000rpm)の常用域で、ハンドルバーやステップへの微細な高周波振動が発生するという報告があります。これが1時間、2時間と続くと、手がジーンと痺れてくるような“しびれ・疲労感”につながることがあります。

ヘビーウェイトのバーエンドを入れたり、ハンドルの中に防振ダンパーを仕込んだりする対策が有効ですが、ノーマルの状態では「高級ツアラーのような快適さ」は期待できません。「つまらない」以前に、「移動が疲れる」と感じてしまう可能性があるのです。

電子制御がなく時代遅れなのか

ここ数年のアドベンチャーバイクの進化は目覚ましく、ミドルクラスであっても巨大なフルカラーTFT液晶メーター、IMU(慣性計測装置)連動のトラクションコントロール、クルーズコントロール、クイックシフターなどが標準装備されているのが当たり前になりつつあります。

それに比べると、テネレ700は「シンプル寄り」な立ち位置で語られがちです。ただし、年式で装備は大きく変わります。国内仕様では2024年モデルで5インチのカラーTFTメーター3モードABS、USBソケットなどが追加され、利便性は一段アップしました。

さらに2025年モデルでは6.3インチ縦型フルカラーTFT電子制御スロットル(YCC-T)、走行モード、トラクションコントロールなどが導入され、近代化が大きく進んでいます。

この仕様を「純粋で硬派」と捉えるか、「値段の割に装備が貧弱で時代遅れ」と捉えるかで評価は分かれます。ガジェット好きなライダーからすれば、メニュー画面で設定をいじって遊ぶ要素が少ない年式では、「ハイテク感がなくて退屈」と感じるでしょう。クルーズコントロールがないため、長距離の高速移動で右手首が疲れるという実用的なデメリットもあります。

しかし、テネレは「走るスマホ」ではなく、あくまで「鉄の馬」です。電子制御が少ない(あるいは“盛りすぎていない”)ということは、旅先でブラックボックス化した電気系統が故障して走行不能になるリスクを抑えられる、という見方もできます。設定変更で遊ぶのではなく、体重移動とライン取り、クラッチワークで遊ぶバイクだと割り切れるかどうかが、このバイクを楽しめるかどうかの分かれ目になります。

退屈さを凌駕する圧倒的な信頼性

ここまで、テネレ700のネガティブな要素や「つまらない」と言われる要因について正直に触れてきました。しかし、それでもなお、世界中のライダーがこのバイクを選び、熱狂的なファンコミュニティが存在するのには明確な理由があります。それは、他の追随を許さない「圧倒的な信頼性」と「耐久性」です。

20万キロ走れる耐久性の評価

「バイクの寿命」と聞いたとき、あなたは何万キロをイメージしますか? 5万キロ? 10万キロ? テネレ700の世界では、その基準はもっと高いところにあります。

海外のフォーラムやYouTubeなどのユーザーレポートを見ると、20万キロ(約12万マイル)近い走行距離を達成し、なお元気に稼働しているテネレ700の事例が複数存在します。中には30万キロを目指している猛者もいます。

例えば、過酷な環境でのツアー/レンタル運用の文脈でも、テネレ700をハードに運用しながら「長距離・長期運用の実績」が語られている例があります。もちろん個体差や整備状況は前提になりますが、「長く乗るほど価値が増す」バイクとして評価されやすいのは確かです。

冒頭で触れた「つまらない」と評される控えめな出力設定やマイルドなチューニングは、実はエンジンの耐久性を高める方向に効いています。ハイパフォーマンスなバイクが、複雑な機構のトラブルで修理工場に入り、部品待ちをしている間に、テネレ700は地球の裏側まで走り続けているかもしれません。

「どこへ行っても必ず帰ってこられる」という絶大な安心感。砂漠の真ん中や、携帯電波の届かない山奥において、これ以上の性能があるでしょうか?

激しいオフロード走行で泥だらけになったテネレ700の写真。20万キロを超える走行実績や、シンプルな構造が生む生存率の高さを訴求する画像。
マコト
マコト
海外のフォーラムを巡回していても、テネレのエンジントラブルの話って本当に少ないんですよ。メカニック目線で見ても、このCP2エンジンの設計は「無理をしていない」のがよく分かります。旅先でロードサービスを待ちたくないなら、この信頼性は最強の「装備」と言えるかもしれませんね。

カスタムで化ける素材としての魅力

テネレ700は、多くのオーナーから「最高の未完成品(Blank Canvas:白いキャンバス)」としても評価されています。「吊るし(ストック)の状態がつまらない」という点には同意しつつも、そこから自分好みに仕上げていくプロセスそのものを楽しんでいるのです。

コストダウンのためにあえて妥協されたと思われるパーツ群は、裏を返せば「オーナーが自分の用途に合わせてアップグレードするための余白」です。

  • サスペンション: Ohlins、Tractive、Andreaniなどのカートリッジキットへ換装することで、走りは劇的に変化し、KTMに匹敵する走破性を獲得できます。
  • タンク容量: Camel ADVなどの補助タンクを追加することで航続距離を伸ばし、大陸横断仕様に仕立てることができます。
  • 防御力: エンジンガードやハンドガードを追加し、転倒しても壊れない要塞のようなバイクにすることも可能です。

完成された完璧なバイクを買うだけでは得られない、パーツを一つひとつ選び、取り付け、走って確かめるという「自分の相棒を育てる楽しみ」がそこにはあります。手をかければかけるほど、愛着は深まり、世界に一台だけのテネレになっていくのです。

2025年モデルでの進化と変更点

さて、これからテネレ700を購入しようとしている方にとって朗報なのが、2025年モデルでの大幅な進化です。ヤマハは市場の声、つまり「装備が古臭い」「もっと利便性が欲しい」という要望にしっかりと応えてきました。

まず前提として、国内仕様は2024年モデルで5インチのカラーTFTメーターや3モードABSなどが導入され、インターフェース面は既に大きく進化しています。そのうえで2025年モデルの最大のトピックは、専用設計の6.3インチ縦型フルカラーTFTディスプレイへのアップデートです。

これにより視認性が向上しただけでなく、専用アプリを介したスマートフォン連携や、画面上でのナビゲーション表示が可能になりました。コクピット周りの「安っぽさ」は大きく改善されます。

さらに走りに関わる重要な変更点として、電子制御スロットル(YCC-T)の採用が挙げられます。これにより、「Sport」や「Explorer」といったライディングモードの切り替えが可能になり、状況に応じてスロットルレスポンスの特性を変更できるようになりました。

また、インテーク形状の変更により低回転域のトルクアップも図られています。「古臭くてつまらない」という批判に対する、ヤマハからの明確な回答と言えるでしょう。(出典:ヤマハ発動機株式会社『Ténéré700 ABS 2025年モデル発売』ニュースリリース

テネレ700購入前のよくある質問(FAQ)

最後に、テネレ700購入を検討しているライダーからの代表的な質問にお答えします。「つまらない」という評判以外にも、リアルな疑問は尽きないものです。

Q. パワー不足で高速道路の追い越しはきついですか?

A. リッタークラスのような「アクセルひと捻りでワープする」ような加速はありません。
追い越しの際はギアを1つか2つ落として、しっかり回転数を上げる必要があります。ただ、これは「きつい」というより、本来の「バイクを操作する楽しさ」でもあります。時速120km巡航そのものはこなせますが、快適性(風・振動)は人によって評価が分かれます。

Q. オフロード初心者でも扱えますか?

A. 正直に言えば、トップヘビー(重心が高い)な特性により、極低速域では熟練者でも緊張することがあります。
慣れるまでは立ちゴケのリスクが高いでしょう。しかし、走り出してしまえばエンジンの「フラットトルク」が初心者を助けてくれます。唐突なパワーが出ないので、ダートでのスロットル操作を学ぶには最高の先生になってくれるはずです。

Q. 維持費は外車(KTMなど)と比べてどうですか?

A. 一般論として、国産車は部品供給網が厚く、ランニングコスト面で有利になりやすいです。
テネレ700は設計がシンプルなぶん、過度に気を遣うポイントが少ないと感じる人も多いでしょう。浮いたお金をガソリン代やカスタム代に回せるのは大きなメリットです。

テネレ700がつまらないは誤解だ

結論として、テネレ700は遊園地のジェットコースター(乗っているだけでスリルがある乗り物)ではありません。

それは、信頼できる「道具(スコップやナイフ)」に近い存在です。上質な道具を眺めて「つまらない」と言うのはナンセンスです。「つまらない」と言う人は、まだこのバイクを本来の場所(オフロードや過酷な旅路)で使っていないだけかもしれません。

夕日の中に佇むパニアケースを装備したテネレ700。退屈な優等生ではなく、かけがえのない最高の相棒へと変貌するという記事の結論をまとめた画像。
  • テネレ700の「つまらなさ」は、ライダーを邪魔しない「素直さ」の裏返しであり、最大の美徳である
  • 73馬力は不足しているのではなく、滑りやすいオフロードで「恐怖感なく使い切れる」最適なパワーである
  • 刺激的な加速はないが、長距離・長期運用に向いた耐久性が「旅の自由」と「必ず帰還する安心」を後押しする
  • 年式によって装備は進化しており、2025年モデルでは電子制御も大きく近代化した
  • 泥にまみれ、道なき道を走破した時、この「退屈な優等生」は「代えの効かない最高の相棒」へと変貌する

もしあなたが、一瞬のアドレナリンや信号ダッシュの速さではなく、長く深い満足感と、世界のどこへでも行ける冒険へのパスポートを求めているのなら、テネレ700は間違いなく最高の選択肢です。他人の「つまらない」という評価に惑わされず、一度、試乗車でアスファルトを外れ、土の上を走ってみてください。

きっと、その「退屈な優等生」の本当の顔が見えるはずです。さあ、冒険の準備はできましたか?

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