こんにちは。「motofrontier」の「マコト」です。ヘルメットを被ってシールドを「カチッ」と下ろした瞬間、日常の雑音がふっと消えて、自分だけの世界に切り替わるあの感覚。仕事で疲れていても、バイクに跨ってエンジンをかけるだけで、不思議と気持ちがリセットされますよね。
さて、今回はヤマハのスポーツツアラー「TRACER9 GT」についてお話しします。ネット上で「トレーサー9GTを買って後悔した」という体験談や、ネガティブな評判を目にして不安になっている方も多いのではないでしょうか。
また、ライバルであるNT1100との比較で迷っているという声もよく耳にします。決して安い買い物ではないからこそ、メリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておきたいですよね。
- ✅ カタログスペックは魅力的だが、実際の足つきや取り回しに不安がある
- ✅ 「ツアラー」という名前だから、ふかふかの乗り心地だと期待している
- ✅ 3気筒エンジン特有のクセや、低速時の扱いやすさが気になる
- ✅ 買ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔したくない
もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。
トレーサー9GTを購入して後悔する理由

ここでは、実際にオーナーになってから「思っていたのと違う」と感じやすいポイントを深掘りしていきます。TRACER9 GTは非常に完成度の高いバイクですが、そのキャラクターは「安楽なツアラー」というよりは「背の高いスーパースポーツ」に近いため、そのギャップが後悔の種になりがちです。
足つき性の悪さと立ちごけのリスク

TRACER9 GTを検討する上で、最初にして最大の壁となるのが「足つき性」です。ヤマハ公式サイトのスペック表を見ると、シート高はローポジションでも845mm、ハイポジションでは860mmと記載されています(2025年モデル以降)。
この数値は、アドベンチャーモデルとしても日本人にとってはかなりハードルの高い数値であり、多くのライダーが購入を躊躇する要因となっています。
数値の高さと「幅」の二重苦
845mmという数値だけでも十分高いのですが、TRACER9 GTの問題はそれだけではありません。ベースとなっているMT-09譲りの高剛性アルミフレームと、シート前方の形状に「幅」があるのです。
タンクからシートにかけての幅が広く設計されているため、ライダーの足は真っ直ぐ下に下りず、一度外側に大きく広げられてから地面に向かう「ハの字」を描くことになります。この「脚を開かされる分」だけ、実質的な足つき性能が数値以上に悪化してしまうのです。
身長170cmのライダーの場合、両足はおろか、片足のつま先がツンツンになることも珍しくありません。平坦なアスファルトの上ならまだしも、ツーリング先の砂利の駐車場や、轍(わだち)のある交差点、わずかに傾斜した路肩などでは、この足つきの悪さが命取りになります。
重心の高さが招く「立ちごけ」の恐怖
さらに問題を複雑にしているのが、アドベンチャースタイル特有の「重心の高さ」です。TRACER9 GTは燃料タンクの位置が高く、さらに標準装備のパニアケースに荷物を満載すると、車体の重心はさらに上昇します。停車時に車体がわずかでも垂直から傾くと、高い位置にある重量物が一気に重力に引かれ、つま先だけで支えているライダーの筋力では耐えきれなくなる瞬間が訪れます。
納車直後の「立ちごけ」は、カウルやハンドガードへの傷だけでなく、オーナーの心に深いトラウマを残します。「毎回停まるたびに冷や汗をかくのは辛い」「もっと気軽に乗れるバイクにすればよかった」という後悔の声は、この足つきに対する心理的ストレスから来ていることがほとんどです。
購入前の試乗では、単に走るだけでなく、必ず「片足での支えやすさ」や「またがったままバックできるか」といった取り回しのシミュレーションを入念に行うことを強くおすすめします。
低速域でのドンツキとエンジン特性

TRACER9 GTの心臓部に搭載されているエンジンは、総排気量888ccの並列3気筒(CP3)です。アクセルを開けた瞬間からリニアにトルクが立ち上がり、高回転まで突き抜けるような加速感は、一度味わうと病みつきになるほどの魅力があります。しかし、この「リニアすぎる反応」が、低速域では「扱いにくさ」として牙を剥くことがあります。
じゃじゃ馬なスロットルレスポンス
多くのオーナーが指摘するのが、スロットルを全閉状態からわずかに開けた瞬間の挙動、いわゆる「ドンツキ」です。特に渋滞路での発進停止や、狭い路地での極低速ターン、ヘアピンカーブの立ち上がりなどで、ミリ単位のスロットル操作に対してエンジンが過敏に反応し、車体が「ガツン!」と前方に飛び出すような動きを見せることがあります。
この「過敏さ」の考え方は、同系統エンジンを積むMT-09の方が情報量が多いので、より深く知りたい方は下記も参考になります。
▶ MT-09が乗りにくい本当の理由と劇的改善ガイド(ドンツキ・足つき対策)
ドライブモードによる変化と限界
TRACER9 GTには4つのドライブモード(D-MODE)が搭載されています。最もレスポンスが鋭い「モード1」はスポーツ走行には最高ですが、市街地ではギクシャクしすぎて疲れてしまうという声が多いです。そのため、多くのライダーは街乗りではレスポンスをマイルドにした「モード2」や「モード3」を使用しています。
しかし、「モード2」にしても低速のツキの良さは完全には消えませんし、逆に「モード3」や「モード4」にすると今度はパワー感が削がれてしまい、せっかくの900cc級エンジンの魅力が半減してしまうというジレンマに陥ります。
「ツアラー=穏やかでシルキーな乗り味」を想像して購入すると、常に右手の微細なコントロールを要求されるこのエンジン特性に、「もっと楽に乗れると思ったのに」と疲れを感じてしまうかもしれません。
長距離でお尻が痛くなる純正シート

「GT(Grand Tourer)」というネーミングから、長距離を走っても全く疲れない極上の座り心地を期待される方は多いでしょう。しかし、残念ながらTRACER9 GTの純正シートに関しては、オーナーからの評価は決して高くありません。むしろ、「1時間でお尻が痛くなる」「ツーリングの後半は苦行」といった厳しい意見が散見されます。
なぜお尻が痛くなるのか?「前下がり」の罠
クッション自体の硬さもさることながら、最大の問題はシートの座面形状にあります。純正シートはタンク側に向かって傾斜がついた「前下がり」の形状をしています。このため、走行中の振動や減速Gによって、ライダーの骨盤は徐々に前方へと滑っていきます。
体が前にずれると、股間部分がタンクに押し付けられて窮屈になるだけでなく、ズボンが突っ張って不快感が生じます。ライダーは無意識のうちに、腕や足で体を後ろに押し戻そうとするため、余計な筋力を使って疲労が蓄積します。また、着座位置が安定しないことで、お尻の特定のポイント(坐骨周辺)に圧力が集中し続け、結果として「割れるような痛み」が発生するのです。
コンフォートシートでも解決しない?
ヤマハのワイズギアからはオプションで「コンフォートシート」が販売されていますが、これに変えても「劇的には改善しなかった」という声もあります。表皮の質感やクッション性は向上するものの、根本的な「前下がりの傾斜」が変わっていないため、前滑りの問題が解消されないケースがあるようです。
このシート形状は、スポーツ走行時にフロント荷重をかけやすくするための設計思想だと考えられますが、淡々と高速道路をクルージングするようなシチュエーションでは、快適性を大きく損なう要因となっています。長距離ツアラーとしての資質を問われる、非常に惜しいポイントと言えるでしょう。
電子制御サスペンションの硬さと乗り心地
TRACER9 GTには、KYB製の高性能な電子制御サスペンション(KADS)が標準装備されています。6軸IMU(慣性計測装置)やECUと連携し、走行状況に応じて減衰力をリアルタイムで調整するというハイテク装備です。しかし、このサスペンションの味付けもまた、明確に「スポーツ寄り」であることは否めません。
「魔法の絨毯」ではない現実
高級ツアラーと聞いてイメージするような、路面の凹凸を全て吸収して滑空するような「魔法の絨毯」のような乗り心地ではありません。むしろ、路面のギャップや継ぎ目の情報を、コツコツとライダーに伝えてくるタイプです。
サスペンションモードを最もソフト寄りの「A-2(コンフォート)」に設定しても、低速域では「硬い」と感じる場面があります。特にマンホールの段差や荒れた舗装路では、突き上げ感がダイレクトにお尻や腰に伝わってくることがあります。これは、高速域でのスタビリティ(安定性)や、コーナリング時の接地感を最優先に設計されているためです。
調整幅のジレンマ
電子制御サスペンションは便利である反面、ユーザーが自分好みに細かくセッティングを変更できる幅が、従来のアナログなサスペンションに比べて制限されている(または直感的に変更しにくい)という側面もあります。
「もう少しだけ初期の沈み込みを柔らかくしたい」と思っても、プリセットされたモードの中では解決できない場合があり、これが「高価な電子制御がついているのに、自分好みの乗り心地にならない」という不満につながることがあります。
もちろん、峠道に入ればこの硬さが絶大な安心感に変わるのですが、「旅の9割は直線の移動」という一般的なツーリングライダーにとっては、もう少しコンフォート寄りの設定があっても良かったのではないか、と感じる部分です。
快適装備の弱点とライバル車との比較
この章では、長距離ツーリングで気になる快適装備の実力や、よく比較検討されるライバル車との違いについて解説します。特に「夏場の快適性」や「防風性能」は、カタログだけでは分からない重要なチェックポイントです。
夏場のエンジンの排熱と熱さ対策
排気量900ccクラスの大型バイクにおいて、エンジンの発熱はある程度避けられない宿命ですが、TRACER9 GTの排熱は、その中でも「かなり熱い部類」に入ると覚悟しておいた方が良いでしょう。
フレーム自体が熱を持つ構造
特に問題となるのは、アルミ製のメインフレーム自体がエンジンの熱を吸収し、まるでヒートシンク(放熱器)のように高温になってしまう点です。ライダーの太ももや膝の内側が触れるフレーム部分が熱を持つため、ニーグリップをしようとすると「熱っ!」と驚くことになります。
さらに、ラジエーターファンが回り始めると、カウルの隙間から熱風が吹き出し、左足のふくらはぎ周辺を直撃します。真夏の渋滞路や信号待ちでは、外気温とのダブルパンチで下半身がサウナ状態になり、低温やけどのリスクさえ感じるほどです。
ジーンズなどの薄手のパンツで乗るのは、夏場は自殺行為と言っても過言ではありません。革パンツや、遮熱素材を使用したライディングパンツ、あるいはフレームに貼り付けるヒートガードなどの物理的な対策が必須となります。「快適なツアラー」だと思って購入したのに、夏場は乗るのが億劫になってしまう……というのは、意外と大きな後悔ポイントになり得ます。
『熱対策推奨ウェア』
TRACER9 GTの排熱と戦うなら、普通のデニムではなく「遮熱インナー」や「メッシュレザー」が必須です。
純正スクリーンの防風性能と風切り音
高速道路を使った長距離移動において、疲労を軽減するために最も重要なパーツの一つがウィンドスクリーンです。TRACER9 GTには高さ調整可能なスクリーンが装備されていますが、その性能については「中途半端」という評価が多く聞かれます。
サイズ不足と乱気流の発生
純正スクリーンは形状がスタイリッシュで小ぶりなため、一番高い位置に設定しても、身長170cm以上のライダーだとヘルメットの上半分や肩口に走行風が当たってしまいます。完全に風を防いでくれるわけではないため、高速巡航を続けると首や肩に疲労が蓄積します。
さらに厄介なのが「バフェッティング(乱気流)」の問題です。スクリーンの端で剥離した風が渦を巻き、ヘルメット周辺で不規則に暴れることで、「ゴォー」「ボボボボ」という不快な風切り音(ウィンドノイズ)を発生させることがあります。
これが長時間続くと、聴覚的なストレスになるだけでなく、インカムでの通話や音楽鑑賞の妨げにもなります。「GT」の名にふさわしい静粛性を求めるなら、純正状態では力不足を感じる場面が多いでしょう。
NT1100と比較して劣る快適性

TRACER9 GTの購入を検討する際、必ずと言っていいほど比較対象に上がるのが、ホンダのスポーツツアラー「NT1100」です。価格帯も近く、同じようにパニアケースが似合うモデルですが、そのキャラクターは対極に位置しています。はっきり申し上げますと、「快適性」と「安楽さ」に関してはNT1100に軍配が上がります。
NT1100側のオーナー評価や「結局どうなの?」を深掘りしたい方は、こちらも合わせてどうぞ。
▶ NT1100の評判とオーナーの本音(燃費・足つき・スペック)
| 比較項目 | Yamaha TRACER9 GT | Honda NT1100 |
|---|---|---|
| エンジンの性格 | 3気筒:高回転まで吹け上がる刺激型 低速はやや過敏 | 2気筒:低回転トルク重視の実用型 穏やかで扱いやすい |
| 防風性能 | スクリーンは小さめ 風を感じるスポーツ寄り | 巨大なスクリーンとディフレクター 圧倒的なプロテクション性能 |
| シートの質 | 硬めで前滑りしやすい スポーツ走行重視 | 厚みがあり広くてフラット ソファのような快適性 |
| トランスミッション | 6速MT + クイックシフター ガチャガチャ操作する楽しさ | DCT(デュアル・クラッチ) AT感覚で変速ショック皆無 |
| 足つき性 | シート幅があり悪い 重心が高く感じる | シート幅が絞られており 数値以上に足つきが良い |
NT1100は、最初から「快適に移動すること」を最優先に設計されています。巨大なスクリーンはライダーを風から守り、DCTのおかげで渋滞時のクラッチ操作による左手の痛みもありません。もしあなたが「景色を楽しみながら、疲れずに遠くまで行きたい」「タンデム(二人乗り)を頻繁にする」という目的でバイクを選ぶなら、NT1100を選んだ方が幸せになれる確率は高いです。
逆に言えば、TRACER9 GTを選んで後悔しないのは、「NT1100のような優等生すぎるバイクでは退屈だ」「移動中もエンジンの鼓動や操作感を楽しみたい」という、少しマゾヒスティックなスポーツマインドを持ったライダーだけかもしれません。
クイックシフターの操作感と変速ショック
TRACER9 GTには、クラッチレバーを握らずにシフトアップ・ダウンが可能なクイックシフター(QSS)が標準装備されています。長距離ツーリングでの疲労軽減に役立つ便利な機能ですが、その操作感には独特のクセがあります。
「カチッ」ではなく「グニュッ」?
多くのスポーツバイクのクイックシフターが「カチッ、カチッ」と小気味よく変速するのに対し、TRACER9 GTのシフターは、スイッチの感触がややスポンジ―で、「グニュッ」と押し込むような感覚があります。
また、特に低回転域(2,000〜3,000回転付近)でのシフトダウン時には、エンジンの回転合わせ(オートブリッピング)が完全には同調せず、車体が「ガクッ」と揺れる変速ショックが発生する場合があります。
アクセルを大きく開けて加速している時や、高回転域を使っている時のシフトチェンジは非常にスムーズで気持ちが良いのですが、街中をダラダラと流している時のシフトフィールには少し荒さが残ります。「オートマのように滑らかに変速してくれる」と思って期待しすぎると、この機械的なショックに違和感を覚えるかもしれません。
欠点を解消するカスタムと最終結論
ここまで厳しいことも書いてきましたが、TRACER9 GTの魅力は、これらの欠点を補って余りあるほどの「エンジンの楽しさ」と「軽快なハンドリング」にあります。素材が良いからこそ、欠点をカスタムで潰していけば、最高の相棒になるポテンシャルを秘めています。最後に、弱点を克服するための具体的な対策と、最終的な結論をお伝えします。
シート加工やローダウンで足つき改善

最も深刻な「足つきの悪さ」は、物理的なアプローチで改善可能です。まずは「ローダウンリンク」の導入を検討しましょう。デイトナやエフェックスといったメーカーから販売されているキットを使えば、車高を15mm〜20mmほど下げることができます。これにより、かかとが浮いていた状態から、足の裏全体が接地するレベルまで改善できる可能性があります。
ただし、車高を下げるとサイドスタンドをかけた時に車体が起きすぎてしまい、反対側に倒れやすくなるリスクがあります。ローダウンする際は、必ず「ショートサイドスタンド」への交換もセットで行うことを強くおすすめします。
『足つきと痛みを解決するアイテム』
「シート加工に出すのは予算や時間がちょっと…」という方は、まずは実績のあるローダウンキットや、敷くだけで痛みを軽減するゲルザブから試してみるのがおすすめです。
シート加工という選択肢
もう一つの有効な手段が「シート加工(アンコ抜き)」です。単にクッションを削るだけでなく、内腿が当たる部分のウレタンを削り込んで(シェイプアップして)足を真っ直ぐ下ろせるようにし、さらにお尻が乗る部分には「T-NET」などの衝撃吸収ゲルを埋め込むことで、足つきを改善しつつ座り心地も向上させるという一石二鳥のカスタムが可能です。費用はかかりますが、長く乗るなら投資する価値は十分にあります。
ECU書き換えで乗りやすさを向上

低速のドンツキがどうしても馴染めない、ギクシャクして乗りにくいと感じる場合、最終手段としてECU(エンジンコントロールユニット)の書き換えという方法があります。「MotoJP」などのECUチューニング専門店に依頼し、純正の燃調マップを最適化してもらうのです。
これにより、アクセル低開度での唐突なトルク発生を抑えたり、エンジンブレーキの効き具合をマイルドにしたりすることで、驚くほどシルキーで扱いやすいエンジン特性に変貌させることができます。「別のバイクになったかのように乗りやすくなった」と絶賛するオーナーも多いです。
ただし、ECU書き換えを行うとメーカーの保証対象外になる可能性が高いため、そのリスクを十分に理解した上で、自己責任で実施する必要があります。まずはスロットル操作に慣れる努力をし、それでもダメだった場合の「奥の手」として考えておくと良いでしょう。
社外スクリーンへの交換で防風性を強化
高速道路での快適性を劇的に向上させるには、スクリーンの交換が最も手っ取り早く、効果的なカスタムです。プーチ(Puig)の「ツーリングスクリーン」や、ジビ(GIVI)の「ロングスクリーン」など、純正よりも高さと幅がある製品に交換することで、防風性能は見違えるほど良くなります。
数センチ高さが上がり、形状が変わるだけで、ヘルメットに当たっていた風が頭上をきれいに抜けていくようになります。風切り音も減少し、インカムの音楽もクリアに聞こえるようになるでしょう。また、MRA製の「スクリーンツーリング」のように、先端に可変フラップが付いているタイプも、風の流れを微調整できるため人気があります。
『おすすめカスタムパーツ』
記事内で紹介した、防風性能を劇的に変えるスクリーンです。高速道路での疲れ方がまるで変わりますよ。
購入前に知っておきたい!TRACER9 GTの「気になる疑問」Q&A
ここでは、試乗レビューだけでは見えてこない、維持費や細かい使い勝手に関する疑問に一問一答形式でお答えします。
Q1. ガソリンはレギュラーですか?ハイオクですか?
A. ハイオク(無鉛プレミアムガソリン)指定です。
TRACER9 GTは無鉛プレミアム指定です。長距離ツアラーとしてガソリン代が気になるポイントかもしれませんが、WMTCモード値は20km/L前後のため、航続距離は計算しやすいでしょう。
Q2. 純正パニアケースをつけたまま「すり抜け」はできますか?
A. 基本的に推奨しません。非常に危険です。
純正サイドケース装着時の全幅は、ハンドル幅とほぼ同じか、わずかに広くなる感覚を持っておくべきです。特に後方は目視しにくいため、ハンドルが抜けたからといって安心していると、ケースをガードレールや並走車に接触させるリスクがあります。ケース装着時は「軽自動車に乗っている」くらいの感覚で車線の中央を堂々と走りましょう。
Q3. タイヤの寿命はどれくらい持ちますか?
A. スポーツツーリングタイヤで約8,000km〜12,000kmが目安です。
車両重量は年式で前後しますが、現行では約227kgクラスで、かつトルクが強力なため、リアタイヤの摩耗は比較的早いです。純正装着タイヤとしてT32系が採用されたモデルもあり、ライフ重視の設計ですが、ハイグリップ寄りを履かせると5,000km持たない場合もあります。維持費を抑えたい場合は、ライフ重視のツーリングタイヤを選ぶのが正解です。
トレーサー9GTを選んで後悔しないために

結論として、TRACER9 GTは「箱出しの状態(ノーマル)で、誰にとっても100点満点の快適ツアラー」ではありません。足つきには不安があり、エンジンは少し過激で、シートは硬めです。「安楽さ」だけを求めるなら、間違いなく他のバイク(NT1100など)を選んだ方が幸せになれます。
しかし、シートやスクリーン、足回りなどの「自分に合わない部分」を少しカスタムして調整し、自分仕様に仕上げていく過程を楽しめる人にとっては、これ以上ないほど面白い素材です。
調整がバチッと決まったTRACER9 GTは、「峠道をスーパースポーツのように駆け抜け、荷物を満載してキャンプ場へ向かい、高速道路を一気に移動する」という、あらゆる要望を高次元で叶えてくれる「最強のマルチツール」に化けます。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 純正シートは硬めで前滑りしやすいため、長距離はお尻の痛みに注意し、必要なら加工を検討する
- 足つきは見た目以上に悪く、立ちごけリスクが高いため、ローダウンやシート加工費を予算に組み込んでおく
- 低速のドンツキやサスの硬さはあるが、それがスポーツ走行の刺激的な楽しさに直結している個性でもある
- 「快適性・安楽さ」重視ならNT1100、「刺激・スポーツ性・操る楽しさ」重視ならTRACER9 GTという選び分けが正解
この記事を読んで、「欠点は分かった。それでもやっぱりTRACER9 GTのあの攻撃的なデザインと、刺激的な走りが魅力的に見える!」と感じたなら、それはもう運命の一台かもしれません。多少のじゃじゃ馬っぷりは、愛着を持って接すれば「かわいい個性」に見えてくるものです。
ぜひ一度、お近くのYSPやレンタルバイク店で試乗して、その「魂を揺さぶる3気筒サウンド」を体感してみてください。
アクセルをワイドオープンした瞬間の高揚感が、細かいネガティブな要素をすべて吹き飛ばしてくれるはずですよ。あなたのバイク選びが、後悔のない最高のものになることを応援しています!