ホンダのフラッグシップ「CB1300」シリーズ。生産終了が発表され、今改めてその魅力に注目が集まっています。特にCB1300の馬力について調べている方は、その強力なエンジン性能に関心があることでしょう。
SC40型から続く伝統の直4は、モデルチェンジを経て馬力アップも果たしました。しかし、CB1300の評価は「非常に乗りやすい」という声がある一方で、一部では「遅い」と感じる人もいるようです。
ボルドールやスタンダードモデル、さらにはCB1300SF SPの馬力やスペックの違い、フルパワー 加速のフィーリングはどうなっているのでしょうか。
この記事では、CB1300の馬力特性がなぜ「乗りやすい」と「遅い」という一見矛盾した評価を生むのか、その理由を深く掘り下げて解説します。
あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?
- CB1300の正確な馬力やスペックを知りたい
- 「乗りやすい」のに「遅い」と言われる本当の理由が分からない
- ボルドールやSPモデルとの馬力の違いを知りたい
- 生産終了前に、CB1300が自分に合うバイクか見極めたい
もし一つでも当ててはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。
CB1300の馬力とトルク特性
CB1300の魅力を語る上で、その心臓部であるエンジンの馬力とトルク特性は欠かせません。1992年の初代「PROJECT BIG-1」コンセプト(CB1000SF)から続くこの系譜は、日本の「王道ネイキッド」そのものです。
ここでは、初期型SC40からSC54、そして最終型8BL-SC54に至るまでの進化の歴史と、その詳細なスペックを深く掘り下げて見ていきましょう。
SC40から続くエンジンの系譜

初代CB1000SF(998cc)の登場後、ライバルメーカーが1200cc超のモデルを投入する中、ホンダが次世代の「BIG-1」として1998年に送り出したのがCB1300SF (SC40)です。
このモデルは、当時アメリカンカスタムとして登場していた「X4」に搭載されていた1284ccの水冷DOHC直列4気筒エンジンを、ネイキッドスポーツ用に徹底的にリファインしたものでした。
「PROJECT BIG-1」のコンセプトである「水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒エンジンを搭載していること」「その体躯はあくまでもセクシー&ワイルドであること」「走る者の心を魅了する感動性能を有すること」を、新時代に合わせて再定義したのです。
当時からCB1300が一貫して追求したのは、低中速域から湧き上がるような豊かで分厚いトルクです。SC40型は、水冷エンジンでありながら空冷エンジンのような美しい冷却フィンをシリンダーに備えていました。
これは単なる装飾ではなく、「エンジンらしい存在感」を視覚的に訴えるための意図的なデザインでした。この「スペック至上主義ではない、トルクで走らせる」という基本特性こそが、現代に至るCB1300シリーズの揺るぎない原点となっています。
歴代モデルのスペックと進化
CB1300シリーズは、SC40型から現行のSC54型へと、大きく分けて2回のフルモデルチェンジと、度重なる熟成を経て進化してきました。そのスペックの変遷は、時代の要求に応えながらも、一貫したコンセプトを守り続けた歴史そのものです。
主なモデルチェンジと馬力の推移
- SC40 (1998年~)
1284ccエンジンを搭載し、最高出力は100PS/7,500rpmを発生。まだキャブレター仕様(PGM-CARB)であり、約273kg(乾燥重量249kg)という重量と相まって、重厚で「鉄の塊感」のある乗り味が特徴でした。 - SC54 (2003年~)
最初のフルモデルチェンジ。最大のトピックは約20kgという大幅な軽量化(乾燥重量226kg)と、フューエルインジェクション(PGM-FI)の採用です。エンジンも冷却フィンが廃止され、より現代的で洗練された外観になりました。最高出力は100PS(2008年モデルから排ガス規制対応とセッティング見直しで101PS)と大きく変わりませんが、レスポンスと扱いやすさが劇的に向上し、軽快感を身につけました。 - SC54 (2014年~)
熟成期に入ったSC54が受けた大きな変更が、トランスミッションの従来の5速から6速への変更です。これにより、高速道路などでの巡航走行が一層快適になり、エンジン回転数を低く抑えられることで静粛性と燃費性能の向上にも大きく貢献しました。
この進化の過程をまとめたのが以下の表です。
| モデル (型式) | 期間 | 最高出力 | 最大トルク | ミッション | 車両重量 |
|---|---|---|---|---|---|
| CB1300SF (SC40) | 1998年~ | 100PS / 7,500rpm | 12.2kgf・m / 5,000rpm | 5速 | 273kg |
| CB1300SF (SC54) | 2003年~ | 100PS / 7,000rpm | 11.9kgf・m / 5,500rpm | 5速 | 254kg |
| CB1300SF (SC54) | 2008年~ | 101PS / 7,000rpm | 11.6kgf・m / 5,500rpm | 5速 | 264kg |
| CB1300SF (SC54) | 2014年~ | 101PS / 7,000rpm | 11.6kgf・m / 5,500rpm | 6速 | 267kg |
| CB1300SF (2BL-SC54) | 2018年~ | 110PS / 7,250rpm | 12.0kgf・m / 5,500rpm | 6速 | 268kg |
| CB1300SF (8BL-SC54) | 2021年~ | 113PS / 7,750rpm | 11.4kgf・m / 6,250rpm | 6速 | 266kg |
※車両重量はモデルやABSの有無で変動します。2008年以降はABS装備車の重量を記載。
2021年の馬力アップ詳細

CB1300シリーズの最終進化形となったのが、2021年モデル(型式:8BL-SC54)です。新たな令和2年排出ガス規制という厳しい環境基準に対応しながら、ホンダはさらなるパワーアップという回答を出しました。
最大のトピックは、電子制御スロットル(スロットルバイワイヤシステム)の初採用です。これは、アクセル操作を物理的なワイヤーではなく電気信号で伝達するシステムで、スロットルバルブの動きをECUが精密に制御できます。
これにより、スロットル操作に対するより繊細でリニアな制御が可能となり、最高出力は従来の110PSから3馬力アップとなる113PS/7,750rpmを達成しました。(出典:本田技研工業株式会社 ニュースリリース 2020年12月3日)
単に馬力が上がっただけでなく、この電子制御化に伴い、現代の大型バイクに求められるライダーサポート機能が一気に標準装備されました。
2021年モデル(8BL-SC54)からの新装備
- ライディングモード
出力特性を3種類から選択可能。「SPORT」は全域で力強く鋭いレスポンス、「STANDARD」はリニアな万能型、「RAIN」はパワーとトルクを抑え、雨天時などの滑りやすい路面でも安心感を高めます。 - Honda セレクタブル トルク コントロール (HSTC)
いわゆるトラクションコントロール。後輪のスリップを検知すると、燃料噴射を制御して駆動力を抑制。ライダーの意図しないスリップを防ぎ、安心感を高めます。 - クルーズコントロール
設定した速度を自動で維持する機能。特に高速道路での長距離移動時、右手のスロットル操作から解放されることで、ライダーの疲労を大幅に軽減します。
まさに、ホンダが30年かけて磨き上げた伝統の直4エンジンに、現代的な電子制御が融合した、集大成とも言えるモデルです。オプションでクイックシフターも設定されました。
ボルドールと馬力は同じ?

CB1300シリーズには、伝統的なネイキッドスタイルの「SUPER FOUR (SF)」と、フレームマウントのハーフカウルを装着した「SUPER BOL D’OR (SB)」の2種類が存在します。
名前の由来は、フランスの伝説的な24時間耐久レース「ボルドール(Bol d’Or)」であり、ホンダが耐久レースで培った技術とスピリットを受け継ぐモデルであることを示しています。
結論から言うと、馬力は全く同じです。
両車はエンジン、フレーム、トランスミッションといった基本コンポーネントを完全に共有しています。そのため、スペック上の最高出力(113PS)や最大トルク(11.4kgf・m)に一切の違いはありません。
主な違いは、カウル装着による高速走行時の優れた防風性能と、それに伴う車両重量です。2021年モデルの場合、SFが266kgなのに対し、SBは272kgと約6kg重くなっています。しかし、この重量差が馬力や加速感に体感できるほどの差を生むことはありません。
どちらを選ぶかは、純粋なスタイルの好みや、高速道路を使ったロングツーリングの使用頻度で決めて問題ないでしょう。
SPモデルの馬力は違う?

「SP」という特別な響きから、「スタンダードモデルよりも馬力が高いのでは?」と考える方は非常に多いです。カワサキの「RR」やヤマハの「M」のように、エンジン内部まで手が加えられていると思うかもしれませんね。
しかし、これも馬力やトルクのスペックはスタンダードモデルと全く同じ(113PS)です。
CB1300の「SP」モデルは、エンジンスペックではなく、走行性能の「質」を劇的に高めた専用の足回りを意味します。その名は「Sports Production」の頭文字に由来します。
具体的には、スタンダードモデルと以下の点が決定的に異なります。
- サスペンション
フロントフォークとリアショックアブソーバーの両方に、スウェーデンの名門オーリンズ(ÖHLINS)社と共同開発した、CB1300専用セッティングの高性能サスペンションを装備しています。 - ブレーキ
フロントブレーキには、イタリアのブレンボ(Brembo)製のモノブロックラジアルマウントキャリパーを豪華に装備しています。
これにより、スタンダードモデルが元々持つ素直な扱いやすさはそのままに、オーリンズサスが路面の細かな凹凸をしなやかに吸収し、タイヤの接地感を格段に向上させます。
また、ブレンボブレーキが、強力な制動力とライダーの指先の入力にリニアに応える、繊細なコントロール性能を提供します。まさに「走りの質」を徹底的に追求した、所有感を満たす上級グレードです。
生産終了とファイナル仕様
1992年の初代BIG-1(CB1000SF)の登場から30年以上にわたり、日本の大型バイク市場を牽引し、多くのライダーに「大型バイクの王道」として愛されてきたCB1300シリーズ。
ファンにとっては非常に残念なことですが、2025年2月発売の「Final Edition」をもって国内向けの生産を終了することが正式に決まり、その詳細が発表されました。
このファイナルエディションは、CB1000SFを彷彿とさせるカラーリングの燃料タンク上部に、「Final Edition」の文字が刻まれた特別な記念ステッカーがあしらわれています。
スペック自体は2021年モデルから変更ありませんが、ホンダが誇る伝統の直列4気筒エンジン、その「BIG-1」の系譜を新車で購入できる、本当に最後のチャンスとなります。
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馬力があっても「乗りやすい」理由
CB1300は113PS(113馬力)という、公道では十分すぎるほどの馬力を持ちながら、リッターバイク初心者からベテランまで、多くのライダーから「驚くほど乗りやすい」「400ccかと思うほど扱いやすい」と評価されています。
その理由は、スペックシートの数字だけでは分からない、ホンダが長年かけて熟成させてきた車体設計とエンジン特性に隠されています。
CBが乗りやすい秘密は低速トルク
CB1300の馬力特性は、高回転域でパワーを絞り出すスーパースポーツ(SS)系とは対極にあります。最終モデルのエンジンは、最大馬力113PSを7,750rpmで発生しますが、それよりも重要なのが最大トルクの発生回転数です。
CB1300は、最大トルク11.4kgf・mを、わずか6,250rpmという比較的低い回転数で発生させます。
つまり、アイドリング(約1,000rpm)からほんの少しアクセルを開けるだけで、260kgを超える巨体を軽々と前へ押し出す力強さ(トルク)が湧き出てくるのです。
この特性のおかげで、街中のストップアンドゴーで神経質なアクセルワークや半クラッチを多用する必要がありません。低速でのUターンでもギクシャクしにくく、少しラフなクラッチ操作やアクセル操作も受け入れてくれる懐の深さを持っています。この「常用域での圧倒的な扱いやすさ」こそが、「乗りやすい」と感じる最大の理由です。
熟成された車体バランス
CB1300SF(2021年モデル)の車両重量は266kgと、数値だけ見れば決して軽いバイクではありません。しかし、多くのライダーが実際に跨って走り出すと「400cc並に軽い」あるいは「走り出せば重さを忘れる」と評価します。
これは、重量物であるエンジンを車体の低い位置に搭載し、フレームの「しなり(剛性としなやかさ)」まで計算に入れた、絶妙なマス集中(マス・セントラリゼーション)と重量バランスの賜物です。
重心が低く、どっしりとした直進安定性を持ちながら、ひとたびライダーが「曲がりたい」と体重移動をすれば、バイクが素直にパタンと倒れ込み、思った通りのラインをトレースしてくれます。
この「数値上の重さを感じさせない軽快なハンドリング」が、ライダーに余計な不安を与えず、結果として「乗りやすい」という絶対的な信頼感に繋がっています。
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白バイ隊員も認める扱いやすさ

CB1300が持つ扱いやすさと高い信頼性は、「CB1300P」として全国の白バイ隊に採用されている事実が、何よりも雄弁に物語っています。
白バイ隊員は、日々、低速でのUターンやパイロンスラローム、複雑な市街地走行、時には緊急走行など、極めて高い運転技術が求められる場面でバイクを操縦します。その過酷な要求に応え、日本のトップライダーたちが選ぶ業務車両であることからも、CB1300の基本設計がいかに優れているかが分かります。
プロが選ぶ理由
元白バイ隊員のインプレッションによれば、CB1300Pは「ハンドルの切れ角が大きく、低速での小回りが非常にしやすい」「低速トルクが豊かで、極低速でもエンストしにくい」といった点が、VFR800Pなど他の車種と比較しても優れている点として挙げられています。プロが日々の業務で酷使しても壊れないタフネスと、高いレベルの運動性能を両立しているのです。
なぜ「遅い」と感じるのか
一方で、これほどのスペックと歴史を持ちながら、一部のライダーからは「CB1300は遅い」という評価を聞くこともあります。もちろん、これはバイクに何らかの不具合があるわけではありません。
この評価は、CB1300が持つ独特のフィーリングと、乗り手が持つ「速さ」への期待(ベンチマーク)との間に、大きなギャップがあるために生じるものです。
「遅い」の誤解はパワーの質
「遅い」と感じる最大の理由は、加速の「質」にあります。CB1300は、アクセルを開けると、低中速トルクで「ズドン!」と路面を力強く掴み、分厚いトルクの壁で車体を押し出していくような、重厚感のある加速をします。
これは客観的な時計の針で見れば非常に速いのですが、乗り手の感覚が置き去りにされるような鋭さではありません。
「遅い」と感じる正体
近年のスーパースポーツ(SS)系バイクは、超高回転域で甲高いエキゾーストノートと共に「カーン!」と突き抜けるような、カミソリのような鋭利な加速をします。
こうしたバイクの刺激的な速さに慣れたライダーがCB1300に乗ると、CBのどこまでも滑らかでジェントルな、振動の少ない加速フィーリングを「刺激が少ない」=「遅い」と脳が誤解してしまうことがあるのです。
例えるなら、SSの速さが「短距離走者の瞬発力」なら、CB1300の速さは「重戦車や機関車の圧倒的なトルク感」です。
フルパワー加速のフィーリング
誤解のないように繰り返しますが、CB1300のフルパワー加速は、決して遅くありません。
0-100km/h加速のタイムは、ライダーの技量や路面条件にもよりますが、おおむね3秒台前半から半ばというデータが多く見られます。この数値は、市販されているハイパフォーマンスなスポーツカーの多くを凌駕するものであり、紛れもない「速いバイク」の領域にあることを示しています。
ただし、その加速感はあくまでジェントル。荒々しさや暴力的なパワー感でライダーを怖がらせることがありません。
絶対的な車体の安定感と余裕の中で、気づけばとてつもないスピードが出ている。ライダーを不安にさせないまま、異次元の速度域にワープさせる。それがCB1300の「速さ」の流儀です。
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SS系とは違うエンジン特性
CB1300が「公道での扱いやすさ」を最重要視していることは、他のスーパースポーツ(SS)系バイクとエンジンスペックを比較すると一目瞭然です。
| モデル | 最高出力 | 最大トルク |
|---|---|---|
| CB1300SF (8BL-SC54) | 113PS / 7,750rpm | 11.4kgf・m / 6,250rpm |
| SS系1000ccバイク (代表例) | 200PS以上 / 13,000rpm以上 | 11.5kgf・m / 11,000rpm以上 |
上記のように、SS系はCB1300のほぼ2倍の馬力を、遥かに高い回転数で発生させます。最大トルクの数値自体は似ていますが、そのパワーを発生させる回転域(rpm)が全く異なっている点に注目してください。
CB1300は、日本の公道やワインディングで最もよく使う回転域(3,000~7,000rpm)で、最も力強くなるよう設計されています。
一方でSS系は、サーキットのストレートなどで使用する超高回転域(8,000rpm~13,000rpm以上)で真価を発揮する設計です。この設計思想の根本的な違いが、そのまま加速フィーリングの違いとして現れているのです。
CB1300の馬力に関するQ&A
CB1300の馬力やスペックに関してよく寄せられる質問をQ&A形式で解説します。
Q1: CB1300の最終モデルの正確な馬力はいくつですか?
A1: 113PS(馬力)です。
2021年モデル(型式:8BL-SC54)以降の最終仕様は、電子制御スロットル(スロットルバイワイヤ)の採用などにより、従来の110PSから3馬力アップした113PS/7,750rpmがカタログスペック値となります。
Q2: CB1300 SF SPやボルドールSPは、スタンダードより馬力が高いですか?
A2: いいえ、馬力もトルクも全く同じです。
「SP」モデルや「ボルドール」も、エンジンのスペックはスタンダードモデルと共通の113PSです。
「SP」モデルの違いは、オーリンズ製サスペンションやブレンボ製ブレーキといった足回りの「質」を高めるための豪華装備にあり、エンジンのパワーアップを意味するものではありません。
Q3: なぜ113馬力もあるのに「遅い」と言われることがあるのですか?
A3: 加速の「質」がジェントルだからです。
スーパースポーツ系バイクが超高回転域で「カーン!」と鋭く加速するのに対し、CB1300は低中速域のトルクで「ズドン!」と滑らかに加速します。この振動が少なく重厚感のある加速フィーリングを、一部のライダーが「刺激が少ない」=「遅い」と誤解することがあります。
実際の0-100km/h加速タイムは約3秒台と、客観的には非常に速いバイクです。
Q4: CB1300は生産終了とのことですが、新車はまだ買えますか?
A4: 2025年2月発売の「Final Edition」が最終モデルです。
これが国内向けの新車としては最後のモデルとなります。ただし、生産台数や受注期間は限られているため、記事執筆時点で新車の在庫が残っているかは販売店によります。
新車での購入を検討される場合は、お近くのホンダドリーム店などに早急に問い合わせることを強くお勧めします。
まとめ:CB1300の魅力
ここまでCB1300の馬力特性について詳しく解説してきました。「乗りやすい」という称賛も、「遅い」という一部の評価も、すべてはCB1300が持つ「低中速トルク重視」という一貫した設計思想から来る、表裏一体の評価であることがお分かりいただけたかと思います。
改めて、CB1300の馬力特性とその魅力の核心を振り返ってみましょう。
- CB1300の馬力は最終型で113PSだが、魅力の核心は低回転から発生する強大なトルクにある
- 「乗りやすい」のは、この低速トルクと絶妙な車体バランスのおかげ
- 「遅い」と感じるのは、SS系とは異なるトルク型の滑らかな加速フィーリングによる誤解
- SPモデルやボルドールも、エンジン(馬力)のスペックはスタンダードモデルと共通
- 生産終了が決定しており、このフィーリングを新車で味わえるのは最後となる
CB1300は、絶対的なスピードやサーキットでのラップタイムだけを追い求めるバイクではありません。大排気量エンジンの「余裕」を感じながら、公道をゆったりと、時には力強く駆け抜ける「操る楽しさ」こそが、30年以上にわたって愛され続けた最大の魅力です。
生産終了は非常に残念ですが、この日本の公道で熟成された伝統の直4フィーリングを体験する価値は十分にあります。新車で手に入れる最後の機会は残りわずかです。
まずは在庫を持つお近くの販売店に相談してみるか、中古車サイトでご自身の希望に合う一台を探してみてはいかがでしょうか。